小説 (短編・中編)
Je tiens à vous
いつもと同じように賑やかな、ここ『妖精の尻尾』ギルド内。
ただ…今日は少しだけ…いつもと違い、
そこかしこで、お祝いムードに色めき立つギルドの仲間たちがいた。

事の始まりは、このギルドの看板娘のこの一言から…

「はい、ナツ。おめでとう。お祝いに一杯ご馳走してあげる。」
パチンとウィンクをして、
カウンターに座る桜髪の少年にファイヤードリンクを差し出す。

「んぁ?ミラ?…今日なんか、あったか?」
と、桜髪の少年は、目をパチクリさせ小首を傾げる。

「あらあら…。ナツったら、自分の誕生日も忘れちゃったの?」
と、苦笑いを浮かべる顔に、
桜髪の少年の隣に座る金髪の少女が驚いたように声をかける。

「え?今日ってナツの誕生日なんですか?」
「そういえば…。ミラに言われるまで忘れてたな。」
「えぇ!?自分の誕生日って普通忘れる…?」
「あぃ。ナツの頭は猫よりもショボいんです。」
「うるせー。」

猫よりもショボい頭の桜髪の少年を半眼で見てから、
目の前のミルクティでひと息付き、そういえば…と、金髪の少女は聞いてみる。

「ねぇナツ、何か欲しい物とかある?プレゼントしてあげるわよ。」
「何でも良いのか?」
「何でもいいけど…あんまり高いのは無理よ?」
「…ルーシィ。」
「…は?」
「ルーシィ。」
「へ?…何が?」
「欲しいもの。」
「はぁ?」
「だぁから。オレが欲しいもの。ルーシィが欲しい。」
「何…言って…。」
「何でもいいんだろ?」
「え…。でも…。」
「嫌なのか?」
「や…嫌じゃないけど…。心の準備…とか。そもそも順序ってのが…」
「嫌じゃないなら、いいだろ?」
「え…。う…うん…。」
「じゃあ…。結婚しよう。ルーシィ。」
「………………。は?」

予想外の台詞にギシリと固まる金髪を他所に、あの言葉がギルド内にこだまする。

「でぇきてるぅ〜。」
「みんなぁ〜!!!今日はお祝いよぉぉぉ!!!」

いつの間にか、シンっ…と静まり返り、
桜色と金色の会話に耳を澄ませていたギルドの面々は、
カウンターの中の看板娘からの一声に…

「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」

「祝酒だぁ〜!!!祝杯だぁ〜」
「ミラちゃん!!どんどん酒持ってきて!」
「くそ〜。ナツの野郎…羨ましいぜぇ〜」
「ルーシィちゃんも…ついに、ナツの手で…。くぅ…。」
「しっかし、見せつけてくれるなぁ〜」
「めでたいな。やっとか…。」
「ジュジュジュビアも…グググ…グレイ様と…」
「おい、落ち着けって。」
「グレイ服!!」
「よかったねぇ…ルーちゃん…。」
「いかれてるぜ。ギヒッ。」

見る間にギルド中お祝いムードで、お祭り騒ぎになった。

ただ一人金髪の少女を除いては…。

「話がぶっ飛びすぎよーーーーー!!!」

〈END〉


【 Je tiens à vous (仏語:貴方が欲しい…) 】

押せ押せなっちゃんと押しに弱いルーちゃん。
ルーシィの思考回路は正常。ナツの思考回路がぶっ飛んでるんです。

ハッピーはナツの誕生日覚えていたのか…忘れていたのか…。
つ…つっこまないでヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ

ここまで、お読み頂きありがとうございました。((o(・ω・)人(・ω・)o))


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