小説 (短編・中編)
おまけ
「落ち着いた?」
「あぁ。もぉ大丈夫だ。」
二カッといつものように笑うナツに、ホッと胸を撫で下ろす。

すっかり元に戻ったナツは「そろそろ帰ろうぜ」と、手を差し出す。

ルーシィをグイッと引っ張り立ち上がらせ、
そのまま取った手に指を絡め、今も繋がったまま。
所謂、恋人繋ぎと言うやつで、二人静かな夜道を歩き、
ルーシィの部屋へと向かっている。

「家に着くまでに、あと何個見られるかしら…?」

あれからしばらくして、落ち着きを取り戻したものの、
結局、おかしかった理由は話してくれなかった…。
この先また、同じようにナツが涙を流す事があるかもしれない…。
でもその時は、今宵のようにそっと抱きしめてあげよう。
その涙の理由がわからずとも、自分の腕の中でなら、その涙を拭ってやる事はできる。
だから、自分の知らない所でひとりで泣かないで欲しい。
いつも…手の届く距離にいて欲しい。

そんな事を考え、隣を歩く桜髪に…ふと聞いてみた。

「ねぇナツ?流れ星に何かお願い事したの。」

(願い事か…。そういや、そんな事すっかり忘れてたな。)

ルーシィが居なくなった事に
焦り落ち着かずそれどころではなかった…。

隣でニコニコと微笑みながら見上げてくる琥珀色の瞳を見つめ…

「オレにとって…ルーシィと出逢えた事は奇跡なんだ。
オレが…オレでいられる場所。だから…願う事はただひとつ…。」

『Avec toute une vie…』

「私も…」
と、小さく呟くその唇に、そっと口付けを落とした。



【Avec toute une vie … (仏語:生涯を貴方と共に…) 】



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