小説 (短編・中編)
Wish Upon a Star…(2)
あの時、星に願わなかったからなのか…
あの時、星に願っていれば、違う未来があったのだろうか…

見上げる夜空は、今日もあの日君と一緒に見上げた星空と同じで、
散りばめられた星々が光り瞬いている。
しかし、今日は新月で…湖面に降り注ぐ月明かりはない。

目の前に広がる暗い闇。
このまま何もかも飲み込んでしまいそうな、深い深い闇が広がる…。

君が隣にいれば、どんなに暗い闇の中だって、
心に優しい明かりが灯るのに…。

どんなに記憶を辿っても…
どんなに君を想い描いても…
もう…大好きなあの笑顔はここにはない…。

あの時、あと少し…あと少し早く君の元に辿り着いていれば。
君は今でもこの腕の中にいたのだろうか…

『ナツ…。もう泣かないで。
これは私の願いなの。みんなを助けたいの。だからもう…泣かないで。
ねぇ、ナツ。あたしね、ナツの太陽のように眩しい笑顔が大好きなの。
だから…』

そう儚げに微笑んで君はこの腕の中で消えたんだ…。
その時の君の笑顔は、今までで、一番綺麗で…眩しくて…。

今でも、君のぬくもりが忘れられないんだ…。
今でも、君の香りを探してしまうんだ…。
今でも、君の事が誰よりも好きなんだ…。

この想いはちっとも変わらないはずなのに…君を想うと切ないんだ。

瞳に溜まった涙が零れないよう、星空を見上げる。

あの時、君と一緒に見た一筋の光が…スッと流れ落ちる。

願いを流れ星にそっと唱えてみる。

でも…その願いは君がいないと叶わないんだ…永遠に…。

「…会いたいよ。ルーシィ…。」

一筋の涙が頬を伝った…。

〈END〉



【 Wish Upon a Star (仏語:星に願いを…) 】

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