小説 (短編・中編)
Wish Upon a Star…(1)
行きたいよ 君の所へ…
今すぐ駆け出して行きたいよ…
願いを流れ星にそっと唱えてみたけれど…

ー Wish Upon a Star… ー

『ナーツ!!ねぇナツってばぁ〜。どこまで行くのよ。』
『ん〜。もうちょっと…。』

真っ暗な夜の森を、細い腕を掴みぐいぐいと引っ張り歩く。

『んもぅ…。あんたと違ってこんな暗くちゃ歩きにくいんだから…』
『ほら、もう着くぞ。』

と、森を抜け、湖の反対側にある小高い丘の上に出る。

『わ…わぁぁぁぁぁ…。何ここ…すごぉーい。』
『だろ?ここ、夜になると月明かりが湖面に反射して綺麗なんだ。
星もたくさん見れるし、ルーシィ喜ぶと思って…。』
『うん…。すごくキレイ…。』

そこは、見上げれば瞳いっぱいに広がる光り輝く満天の星空。
眼下には、天から月明かりが降りそそぎ幻想的に水面を揺らす湖。

『ここは、昔オレが秘密の特訓をしてた場所なんだ。
まぁ、最近はひとりで何か考えたい時に来たりすんだけどな。』
『そんな秘密の場所に、あたしなんか連れてきてよかったの?』
『あぁ。ルーシィだからな。』
『何よそれ…。』
『ん〜。それに、星と言えばルーシィだしな。』
『フフ。そっか…。』
『だから、これからは…ここは二人だけの秘密な。』
『えっ?…うん。わかった。ありがとう…ナツ。』

月明かりに照らされ、儚げに笑う金髪の少女の笑顔が…
幻想的な景色の中に何故か消え入りそうな不安を抱き、
思わず白く華奢な肩を引き寄せた。

ふたり寄り添いながら見上げた星空に、一筋の光が流れた。

『あ!ナツ、今の見た?流れ星。何かお願い事した?』
『ん〜。ルーシィは何か願ったのか?』
『あたし?あたしはね…。これからもこうして一緒にいられますように…って。』
『ふーん。でもそんなの、わざわざ星なんかに願わなくたって、オレらは、ずっと変わらず一緒にいるだろ。』
『もぉ…。ナツってば…。でも、そうだね。』

そう眩しいくらいの笑顔で答えた君は、今はもう…ここにはいない。



ふたりだけの秘密って、乙女心ズキュンだよね。
大好きなルーちゃんだから、全部共有したいなっちゃん。




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あきゅろす。
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