小説 (短編・中編)
おまけ
「ぎゃぁぁぁ!?ぁぁぁあんた達!な…な!い!いつ〜!!!」

寝起き一秒、状況が把握できずとも、
きっちり桜色の頭に裏拳を決め吹っ飛ばす。

「んぁ?うるせぇ…ルーシィ。つか、痛ぇ…」
と、桜色の頭をさすりながら恨みがましい眼で、
真っ赤になって捲し立てる金髪の少女を見上げる。

「ん〜どぉしたの?ルーシィ…また拾い食いしたの?」
「寝言は寝て言え!クソ猫!!」
と青猫の頬っぺたをミョンミョン引っ張ってやる。

「てゆうか、あんた達…何でこんなとこに…。」
「オイラ達、あっちの川で魚釣してたんだ。
そしたら、帰り道でナツが急にこっちに向かって歩き出すから…」
「ルーシィの匂いがしたから、驚かしてやろうと思って。」
「えぇ〜。ここって街から離れてて人もほとんど来ないから、
ひとりで静かに読書するには絶好の秘密の穴場だったのに…。
あんたらにバレたら意味ないじゃない…。」
「プッ。秘密の穴場って…
オイラ達の方がルーシィより長く住んでるんだから、
この辺で知らない場所なんてないよぉ〜。
ルーシィってほんとバカだよねぇ(笑)」
「うっ…。そ…そうね。一言余計だけど。」
「だいたい、
匂いですぐにルーシィの居場所わかんだから、隠れたって無駄だぜ?」
「何さらりと怖い事言ってんのよ…。あたしのプライバシーは…?」
と、実りの無い言い合いに、金髪の少女は深いため息を吐く。

「んな事より、ルーシィこれでさ、あれ作ってくれよ。
この前の…『アクアパンダ』だったか?
貝とかなんか色々入ってたやつ。あれ、美味かった。」

青猫を胸にギュッと抱きながら、
差し出されたバケツを覗き込むと、中では三匹の魚が泳いでいた。

「…。『アクアパッツァ』ね?
もぉ…しょうがないなぁ。ほら、じゃあ帰るわよ。」
と、桜髪の少年の前に手を差し出せば、
二カッと太陽のように眩しい笑顔を見せ、金髪の少女の手をとった。

『よいしょ』と桜色を起こし、
夕日で橙に染まった帰路を、二人と一匹でたどる。

繋いだままの手はじんわりと暖かく、
その季節のせいか…
物悲しく心の隙間を抜ける秋の冷気すら忘れるようだった。

(ナツの手…暖かい。)

腕の中でゴロゴロと猫なで声をあげる青猫に、
ふんわり微笑むと、嬉しそうにシッポを揺らした。

(ハッピーも暖かい…。
この先ずっと、いつまでも。こんな幸せな日が続くといいな…。)

そう思うと、
繋いでいる手に…抱きしめている腕に…自然と力が入る。
この温もりを、この幸せを…
離さないように、離れてしまわないように…。

ぼんやりそんな事を考えていると…

「ルーシィ。オレ…ルーシィといるとな…
この…胸の周りがホコホコして、すごく幸せな気持ちになるんだ。
だから、これからもずっと一緒にいような。
何があっても、この手…ぜってぇ離さないからな!」

無自覚天然爆弾ガ投下サレタ…。



イオナズンクラス。ルーシィ防御力5。

[*前へ][次へ#]

4/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!