小説 (短編・中編)
ゲシュタルト崩壊(2)
指先で金色の毛先をクルクルと弄びながら、
ひとりカウンターで小説を読む。
ふと…(確かに、今日は静かね。)と、ギルド内を見渡す。
時刻はもう昼過ぎ。
いつもなら…
そこいらで誰彼構わずケンカをふっかけて大暴れしているか…
人の事をからかい、仕掛けたイタズラに腹を抱えて大笑いしているはずの
あの、桜髪の少年と青色の猫の姿を見かけていない。
(何してるのかしら?)
昨夜、いつものように、ルーシィの部屋に不法侵入をしてきた時は、
特に仕事に行く等の話しはしていなかったと思うが…。
肘に顎を乗せ、ボンヤリ昨夜の会話を思い返していると…
「よぉ、ルーシィ。ひとりか?ナツはどうした?」
と、氷のように冷たい手が、金糸の揺れる頭を優しく撫でた。
「ん?ナツ?知らないわよ。
だいたいいつも一緒ってわけじゃ…ってかグレイ…服…。」
「んぉ!?すまねぇ…。」
慌てて服を着る氷の造形魔導士の元に、クネクネと水の魔導士が擦り寄って来た。
「グ…グ…グレイ様が…ルーシィの頭を…いい子いい子ですってぇ〜。キィィ。恋敵〜!!
だいたい、なんでルーシィはひとりなんですか!ナツさんはどうしたんですか!」
あたかも、ここにひとり寂しそうに居たが為に、
心優しいグレイが放っておけず、ルーシィに声を掛けたんだ!!
とでも言いたそうな、非難めいた声の水の魔導士にため息をこぼす。
「はぁ…。ジュビアまで…。
いつもいつもナツ達と一緒って訳じゃないわよ。
ほ…ほら、グレイ。
暇ならジュビア連れて散歩でも行ってきたら?いいお天気だし。」
刺すような視線に耐えられず、
ぐぃぐぃと水の魔導士を氷の造形魔導士に押し付け、二人を追い返した。
いなきゃいないで、気になるーシィ。
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