小説 (短編・中編)
ゲシュタルト崩壊(1)
いつものお気に入りのカウンター席に座り、
目の前でニコニコと微笑む『妖精の尻尾』の看板娘に声を掛ける。

「ミラさぁん。おはようございまぁす。ミルクティください。」
「おはよう、ルーシィ。……あら、今日は一緒じゃないのね?」
と、いつも金色の周りにベタベタと付き纏っている、
桜色の姿が無い事に小首を傾げる。

「へ?あぁ…。ナツですか?いつもいつも一緒じゃないですよぉ〜。」
と、眉をしかめる金髪の少女に

「あら、そぉ?ウフフ。はい、ミルクティ。」
と、ほんのり甘い香りの漂う紅茶を差し出す。

「ありがとうございます。」
嬉しそうにカップに口を近づける、
花のように可愛らしいその顔を見つめながら…

(名前を伝えなくても、誰の事かわかっちゃうくらい、いつも一緒にいる事が普通になってるのに…。
ルーシィったら、気付いていないのかしら?)

と、心の中で呟き、看板娘はカウンターの奥へと入っていった。



パブロフの犬ばりの反応をするルーちゃん。



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あきゅろす。
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