●小説●
C
「―――お母さん!!」
家に飛び込んだ。
「え、えみちゃん!?」
どうしたの、学校は?
お母さんは困っている。
先生のこと、話したことはない。
だけど、えみの気持ちをわかってほしい。
「お母さん。えみね、好き人がいるの」
先生は笑佳がここ3日休んでいるのを知っていた。
廊下を歩く途中、クラスを覗いても、あの笑顔はない。
好きなのに。
笑佳のあの笑顔が。
明るい声が。
励ましてくれる優しさが。
俺が教師だから。
幼いころから夢見ていた職業。
青春時代を放り出してまで猛勉強して得た教員免許。
元気な生徒たちに囲まれて過ごす日々。
満たされていたのに。
生まれて初めて、教師という職業を呪った。
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