●小説●
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「先生ー!おはよー」
好きな人の後ろ姿を発見し、大声で呼ぶ
「おー笑佳、今日も可愛いな」
振り返った先生は、渋谷の軽いナンパのような返事をするが、
先生の性格はもうよく知っているので素直に嬉しい。
先生の隣に駆け寄って、
「そう思うんなら私と付き合ってよ♪」
「それはダメー」
ベーと舌を突き出す先生はとてもじゃないけど24歳には見えない。
童顔で茶目っ気まで兼ね備えた先生はまさにえみの理想の男性。
もちろんそれだけじゃない。
面白いし、時々厳しいけど優しい。
そんな先生の全部に掘れてる!
あ、間違えた惚れてる!!!
「先生、来週の土曜日ヒマ?」
「んーん。ヒマじゃないよーやることいっぱいだよぉ」
「いつになったらデートしてくれるのぉ?」
「いつそんな約束しましたかぁ?笑佳、もう高2だろ?勉強のことを考えろ」
それは頭が痛いであります。
「ついでに自分の歳も考えろ。俺といくつ離れてるよ?」
「7だよー」
引き算くらいできるよ!
と自信満々に答えると頭を小突かれた。
「そうじゃない。7も違うぞ?俺なんてオッサンじゃないか」
「オッサンじゃないよー全然かっこいいよぉ」
そう言うと先生は笑って、
「ありがとな笑佳。好きだよ」
えみも笑顔になる。
笑ったまま、
「じゃあ付き合お?」
「それはダメー」
また舌を突き出され、こんなことの繰り返し。
毎日毎日エンドレス!
「俺ねぇ、必死で勉強して教師になったんだよー」
知ってるよ。何回も聞かされたもん。
「俺と梶原が付き合うとさ、笑佳可愛いじゃんか?嫉妬したヤツが他の先生とかPTAにチクるんだわ」
そしたら俺の首が、スパーン!
手で自分の首を跳ねる真似をする。
「『順調にいくと、公務員が生徒に手を出したってことで警察沙汰に』でしょ?」
何回も聞かされた言葉を先生の声を真似て言う。
「そーゆーこと」
よくできましたーと笑う先生。
「というわけで、笑佳も頑張って勉強しろ。保育園の先生になるんだろ?」
「そうだよー!大学で児童学習うの」
えみの夢だよ。一日中子供達と遊んで、お昼寝して、
三時のおやつも食べるの。
「あ、やば。会議の時間」
先生は腕時計を見て言った。
もうそんな時間?先生と一緒だと、
時間が過ぎるのが早い。
数学のときと比べると約5倍のスピードで過ぎてゆく。
「会議頑張ってねー」
「じゃーな」
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