☆お題小説☆ ドアを開けたら着替え中(雪木佐) 雪名が泊まりに来てはや4日。 毎日帰ったら、雪名に会えるのは嬉しい。 嬉しいのだが………。 俺はドキドキさせられっぱなしだ。 このままじゃ、心臓が持たない。 持たないのに、なのに…… 「じゃあすみません、お先にシャワー借りまーす」 そう言って脱衣場に行く雪名。 しばらくしてから、 「あ……このシャツ洗濯機に回しておこう」 俺はしわくちゃになったカッターシャツを拾い上げ、 洗濯機に服を放り込むべく脱衣場のドアを開けて…… 雪名がいた。 髪が濡れて、毛先から滴がしたたる。 そして、上半身裸。 広い肩幅、鎖骨、程よい筋肉質。 それだけ考えるのにわずかコンマ1秒。 「わ、悪いっっ!」 慌ててドアを閉める。 物音がしないから、まだシャワー浴びてると思ってたら……。 「な、なにドキドキしてんだ俺……裸なんてもう何回も……」 見てるけど、いつも暗くてあんなによく見えないし。 なにより風呂上がりの濡れた髪。 ちょっと不意打ちで驚いた雪名の表情。 驚いた顔はこちらも同じだろうけど。 心臓が、ヤバいって。 雪名はかっこよくて、俺の理想の塊で。 俺の多分初恋で。 今も、本当に付き合っているって信じられないくらい。 「木佐さん」 ドアが開いて、雪名が顔を出す。 「あ、わ、悪い……その……」 「やだな木佐さん、」 「?」 雪名は王子様みたいな顔で笑って、 「一緒に入りたいなら言ってくれればいいのに」 「…………!!!???」 違う!!! 激しく違う!!! けど、それもいいなって考えた……自分待てぇぇ! この、もはや殺人的な笑顔に乗せられてはならん。 「え、えーと……シャツ洗濯機にかけようと思って……」 はずみで落としていたカッターシャツを手に取る。 「あ、そうなんですか。なーんだ、残念」 だから、なんで、そんなにかっこいいのか。 心臓が、持たないって言ってんのに……。 「で、でも……今度一緒に入っても、いい……かも」 なんて言ってしまう自分がいる。 そして、やっぱり雪名はドストライクの笑顔で、 「はい!」 とりあえず、それまでに心臓を鍛えておこう。 木佐翔太30歳の試み。 ────────────────── お題配布サイト Fortune Fate様よりいただきました。 5つのハプニング 2.ドアを開けたら着替え中 [*前へ][次へ#] [戻る] |