☆小説☆ @(完) 「高野さん」 小野寺がふわりと笑った。 なぜが女物の着物を着ている。 「なんだ、その格好……」 「に、似合いませんか?」 「似合う」 「ありがとうございます」 何かおかしい。 俺はふと、自分の頬をつねってみる。 痛くない。 そうか、これは夢か。 じゃあ何してもいいんだな。 「小野寺、抱かせろ」 「へ!?え!?無理っっ」 「そこは素直に『はい、抱いてください』だろ?」 こいつは夢の中でもデレ無しか。 まぁいい。 勝手に抱くから。 「高野さん!!!たーかーのーさんっ!」 小野寺が俺を呼ぶ。 「……ん…?」 「起きてください!初日の出見に行くって言ったのはどこの誰です!?」 あぁ、夢が覚めたのか。 ちっ…… いいところだったのに。 でも、やっぱり…… 俺は小野寺の腰に腕を回し、抱き寄せた。 「な………っ」 「やっぱ、生のほうがいいよなぁ」 「……何の話ですか?」 小野寺も体を預けてくる。 「初夢、お前の夢を見た」 「……え」 「お前が着物着てて、お前を抱く夢」 「な………///」 赤くなる小野寺。 「夢の中でも、お前は素直じゃなかったよ」 「そうですか。どうせ俺は可愛げないですよ」 「そういうところも可愛いって言ってるんだ」 「へぇ……高野さんって変わり者ですね」 うつむくその頬が赤いままだぞ。 俺は小野寺を抱いたまま、再びベッドに寝ころぶ。 「うわぁっ……!?」 「やっぱ、日の出はいいや」 「え?」 「窓からでも見えるだろ?それより今は、こうしてたい」 そっとカーテンを開ける。 立ち並ぶビルの間から真っ赤な日が見えた。 「高野さん、一つ言い忘れてました」 「何?」 「明けましておめでとうございます」 にっこり微笑む小野寺。 「あぁ、明けましておめでとう」 「今年もよろしくお願いします」 「今年だけじゃなくて、来年も、再来年も、ずっとな」 ほら、また赤くなる。 「………はい」 happy new year!!! ────────── やっと書けました・・・ みなさま今年もよろしくです^^ [戻る] |