☆小説☆ B(完) 四つ葉のクローバーは幸せを運んでくれる。 五つ葉のクローバーは不幸をもたらす。 「不吉なの見つけちゃいました」 高野さんは、その五つ葉のクローバーを じっと見つめて、 手を伸ばした。 ぶちっ 「え゛!?」 葉を一枚、ちぎられた。 「ほら、これで四つ葉だ」 「そんなのありですか」 「いいんだよ」 「ふふっ」 俺はおかしくなって吹き出してしまう。 高野さんといると、笑える。 笑顔になれる。 不吉は五つ葉を四つ葉に無理やり変えてしまうような人。 手帳を開くと、クローバーが挟まっている。 高野さんが五つ葉から四つ葉に変えてくれたクローバー。 これを見る度にちょっと幸せな気分になるなんて、 本人には絶対に言わないけれど。 END [*前へ] [戻る] |