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田夏  SS 短編 
Stand by me(夏目SIDE)
「じゃあ、また明日な、夏目。」
そう言って、いつもの別れ道で田沼が俺に背中を向けた。
―あ、行ってしまう…。
思うと同時に勝手に体が動いて、田沼の制服の袖を引っ張ってた。
「……夏目?」
田沼が不思議そうな顔で俺を見る。俺は慌てて手を放して
「ごめん、何でもないんだ。…また、明日な。」
と、何でもないフリを装う。
そしたら田沼は、俺の顔をしばらく見つめた後、
「良かったら、ウチに寄ってかないか?」
と、穏やかに笑った。
俺はコクリと頷いた。


俺はまだ、田沼と一緒に居たかったんだ。
もっとずっと一緒に居たい。いつも、いつも。時間の許す限り、ずっと…
でも、俺はそれを言えない。どう言えばいいのか、そもそも言っていいのか、分からないんだ。
田沼はそんな俺の気持ちを、巧みに見抜く。そして、俺に負担の少ない言葉をくれるんだ。

…俺はずるい。そうだと分かってて、いつだってそんな田沼を望んでる。

いつか言えたらな。……『傍に居て』って。
それから―――『好きだよ』





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