クロムハーツ
3
「…っ…また、あの夢…」
もうあれから1年も経った。だけどまだあいつは俺を苦しめる。どんなに暑い日にこの夢を見ても、あの日と同じように指先は真冬のように冷たくなり、またあいつを思い出す。
「こんなの付けてるからかな…」
薬指に光る指輪をなで、ため息をつく。何度も外そうと、何度も捨てようとした。だけど、どうすることもできず、あの日からずっと薬指にはめられたままだ
「今日は入学式か…」
1年前、あいつのもとから消えた俺は猛勉強をしそのまま逃げるように翠柳学園に入学した。全国屈指の進学校であるこの学園に入るには苦労した。そのうえ金持ち学園とも呼ばれているこの学園に慣れるのも大変で、また変な風習が多いため始めは戸惑うばかりだった。だけどこんな山奥ならあいつに会うこともなくゆっくと忘れられると思ったんだ…
レイ…俺はまだお前を忘れることができないんだ。なぁお前は俺のことが本当に好きだったのか?一度も好きだとは言ってくれず、ただ俺だけに名前を呼ばせ、傍に置いてくれた。本当に暖かかった。レイの隣もメンバーの皆も…。だけど耐えきれなかった…レイのことを好きになればなるほど自分が醜くなり、お前に嫌われ捨てられることが。こんな考え自体女々しとも気づかずに…本当俺って馬鹿だよな
なぁレイ…俺はまだお前が−−−−−−
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