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ここしかなくて…
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「あぁ、そうだな。でも狙っている奴らはそれを知らない。パシリにしてもお前は俺に近すぎる。だから何らかの関わりがあると睨んで奴らはお前を襲うだろ」

「…それでも、」





それでも、同じなんじゃないかって言おうとしたんだ。だけど−−−






「だからここに連れてきた」

「え?」

「お前は俺のだ。誰かに傷つけさせるつもりなんてねぇよ」









そう言ってくれた悠矢の言葉は、他の人が聞けば人を物扱いして酷いはずなのに、俺の先程までの不安や暗い心を全て吹き飛ばしてくれた。そしてそのかわりに、空いた場所にはほんのり温かい何かが入ってきたのを感じた






「だけど俺にだって限界はある。四六時中お前の側にいられるわけじゃねからな。だからチームの奴らにもお前が襲われないよう注意を払ってもらうために連れてきたんだ」

「うん…」

「だが、お前が俺から離れれば狙われる心配も、これ以上不良と関わる必要もなくなる。……お前が、お前が俺から逃げ出したいと思うなら今ここではっきり言え。これ以上進んだらお前は戻れなくなる」










いつも、いつもそうだ。悠矢は何時も俺に選択肢を与えてくれる。普段は強引で無茶苦茶なくせに、大事な時だけは俺に自由を与えてくれる








「俺は…」









俺は…




俺は…







どうしたいんだ?







前なら決まっていた。怖い不良なんかと関わりたくないって、前なら即答で逃げ出していたはず…なのに、いつの間にか当たり前になっていたみたいだ。

悠矢が隣に居てくれて、家の中に誰かの存在があって、お帰りとか行ってきますとか言えて。本当なら…悠矢と出会っていなければ、ありえない事なのに、それが普通になってた…。恐かったはずなのに、いつの間にかちょっとずつ悠矢の隣は落ち着く場所になっていて…








俺は…




俺は…





















「一緒に、いたい…」

「え…」

「隣に、いさせてください」














わかならいけど、いつの間にか悠矢の存在は俺の中で大きくなっていて離れたくない、って思ったんだ




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