ここしかなくて…
5
この人は俺を必要としているのだろうか?何も持っていない俺を…
俺はもう1度司聖の目を見据えた。だけど−−−
…なんで?
なんでアンタがそんな辛そうな目をするだ?俺の方が辛いはずなのに…。
その時にはもう俺はこの人に惹かれていたのかもしれない。その綺麗な目を辛そうに揺らしている司聖悠矢を−−−−
俺は最後にもう1度だけ聞いた
「なんで俺なの?」
今度は遮る声は聞こえず、俺の声は小さいながらも確かに響いた。
司聖が口を開くまで、それは一瞬だったのだろうか、それとも数秒だったのだろうか。俺には果てしなく長い時間に感じてしまった−−−−
「欲しいと思ったからだ。俺の傍に来い。」
どこまでも俺様口調は変わらなかった。
だけど、
そんなのはどうだっていい…
この人は俺が欲しい言葉をくれた
ただそれだけで
十分だぁ…
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