ここしかなくて… 9 「これ被っとけ」 そう言って渡されたのはヘルメット。なんでこんなもの?と思っていたら悠矢が学校近くにある茂みから出してきたのはバイクだった。バイクなんてよく知らないけど、黒の光沢が綺麗なそれは2人が乗れるほどの大きさで、改造も少ししてるみたいだった。 「かっこいい…」 「だろ?」 素直な感想を述べると悠矢は嬉しそうに少し笑い、バイクに跨(また)がった。なんと言うかそれがかなりかっこよくて、同じ男として憧れる。 そんな事を考え、ぼっーしていていた俺に悠矢は後の席を軽く叩いた 乗れってこと…だよな? 俺は悠矢から受け取ったヘルメットを被り(ぶかぶか)後に恐る恐る座った。 うわ〜バイクって以外に視線が高いな。つかバイクに乗るの初めてなんだけど!どこ握っとけばいいんだ?俺振り落とされる?やばい!それ死ぬでしょ! 1人パニックに陥っているなか、バイクの心臓に響きそうなエンジン音がなり響き、俺がオロオロしているのに気付いたのか、「落ちたくないなら、俺の腰にしっかり捕まっとけ」と言う声が聞こえ、俺は直ぐさま抱き着いた。 それを確認した後バイクは動き出した。俺の悲鳴とともに… 「誠着いたぞ?誠?」 「うっ……お、降りれない…」 「わ、悪い。運転が荒らすぎた」 「だ、大丈夫」 初めてのバイクはジェットコースターよりも怖い思いをした俺は半泣きで、悠矢はかなりびっくりしながら俺の脇に手を入れ、そのまま持ち上げ降ろしてくれた。なんだか高い高いをしている子供のようで恥ずかしかったが今は悠矢にされるがままだった。 「悪かった。怖い思いさせて」 「大丈夫だから…ここど、こ?」 「ここか?今日寄りたかった所だ」 「ルー…ポ?」 「あぁ。俺達のたまり場だ」 「た、たまり場…?」 「あぁ。昼はカフェで夜はバー兼たまり場だけどな」 「たまり場…」 悠矢の説明は【カルム】に似てるなーなんて思いながらも頭はたまり場と言う言葉しか回っていなかった [*前へ][次へ#] [戻る] |