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謎の子供










「名を名乗れ…。」



ガキの首から少しだけ流れる鮮血。


『…っん、…っ、』

何かを伝えようとしているが恐怖で声が出ないのか、
途切れ途切れ聞こえてくるまだ幼い声。


「なんだあ?もう一回言ってみろ、」

俺がそう問うとくぐもった声が聞こえた。




『っ…たぶ…ん…蓮…』


「は?
“たぶん”ってお前自分の名前わかんねぇのかよ?」



ふるふると子犬のように首を振り、
何も覚えていないが名前は“蓮”だと頭に聞こえてくる、
ということを鼻を啜り怯えた声で話した。





ガキが話し終えた後隊長に目をやると隊長は何かを見つけたのか目を少し見開き驚きの表情を浮かべた。

「(?)」


俺も隊長に続き、隊長の目線を辿り驚きを隠せなかった。


「こ、これは!…斬魄刀…!?」

「…こやつ。」


刀を鞘に戻し、白羽織を羽織っていない隊長が後ろを向いて歩き出す姿がみえた。





隊長しか着れないその白羽織はガキにかけてあり、ガキも何が起こったのかパチパチと目を瞬かせている。






「…行くぞ、」

「へ?行くって…ガキはどうするんすか?」

「…連れてゆく、…斬魄刀のことも気になる。総隊長に報告だ。」


その言葉にガキは驚いたのかかけてある羽織をギュッと握りしめ隊長へと視線を送った。










**************




隊長はガキを連れて総隊長へ報告にでかけた。



微かにガキの霊圧を感じていたが、

それがプツリと消えた。




さっき出会った…

ましてや得体もしれないガキをこんなに心配している自分が不思議だった。




いつの間にやら俺の後ろには隊長がそのガキを抱え、立っていた。




「…気を失っているだけだ。目を覚ましたら風呂に入れてやれ、」



隊長はそういうとガキを隊舎の床に寝かせ、隊主室へ入っていった。
























(…俺が風呂に入れんのか?!)

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