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心ある刀












「さっきもいったが、名はまだ言えない」



そう言い張る斬魄刀へ更木が食って掛かる





「名も喚ばれてねえやつがなぜここにいやがる!」



「確かに。更木の言う通りだ。本来ならば斬魄刀は主に名を喚ばれ真の姿が見える、ましてや具現化など隊長クラスの死神でしかありえない」



冷静に考えている様子の浮竹

しかし、それをも肯定して斬魄刀は話を続けた





「あぁ、確かに。・・・だけどな、俺は喚ばれたんだ!蓮の“心”に」



「・・・」




「だが、喚ばれていない代償に俺は蓮が寝ているときにしか具現化されない。」




「寝てるときだけってねえ〜、」


享楽の呑気な声の中、総隊長である山本が何かに気付いたように声を発した



「・・・妖刀・・・」



「総隊長?」



「斬魄刀の中には“妖刀”なるものがある。御主はその類じゃな、そして、蓮がそれに値する人物であると共鳴したのであろう」



「そんなことっ・・・!」




「“妖刀”…そう考えたら具現化のことと、この餓鬼の霊圧につじつまが合うな」



一同が押し黙る。




「俺がこの姿の時、もちろん今の蓮に会うことはできない。だが蓮に一刻でも早く卍解してもらわねえと!」


「一刻も早く卍解…どういうことかな?」






斬魄刀の発言に藍染が問う。

不可解なのだ


こんな幼い子に卍解を望むなど。

確実に日番谷よりも幼いこの子になにをさせたいのか、それが藍染の気になるところであった。










「こいつは…“地獄”と何らかの関わりがある。いつ狙われたっておかしくねえ、だからその前に蓮を強くしねえと!」


「地獄…」




“地獄”


生前に悪事を働いた者が、死神によって虚としての罪を濯がれ、引きずり込まれる場所である。


その場所についての詳細は一切不明で各隊長たちは戸惑いの色を隠せないでいた。









「俺は運が良かったと思ってる。蓮には生前の記憶がまったくない。素質もある、何より…死神なんてお偉いさんに引き取られるような奴だ 。こいつとなら楽しい事が起きそうだしな、」



そう儚く笑みを浮かべる斬魄刀





「ふむ。だいたいのことは解った。御主も詳しい事までは解っていないこともあるだろう、“妖刀”を呼び起こすほどの子じゃ。我々も放ってはおけん」


「爺さん、」


山本の言葉に斬魄刀は嬉しさをみせた。
が、納得のいかないものもいる。




「総隊長!それはどうかとっ!?





…涅!何の真似だ!!」




「二番隊はゴチャゴチャうるさいんだヨ!…いいじゃないかア…地獄だヨ、興味ある」



「……地獄ってのはいただけないけれど、こんな小さな子だ。私達がしっかりしていればいいんじゃないか?見てごらん。気持ちよさそうに眠ってる」

藍染の言葉でみなは蓮の様子をみた。

何も知らない

小さな子が

気持ちよさそうに眠る姿。

どうしても危険人物には思えなかったのだ。


「各隊長も異論はないな、…だが一つだけ答えてもらおうかのう」


顎に蓄えた髭を触り





「なぜ」





全ての嘘をも見透かすような目で







「なぜ、御主ほどの“妖刀”が蓮の力を認めたからといって、そう必死になるのだ」








斬魄刀に真意を問うた。










沈黙が流れる













それを破るのは斬魄刀で





「こいつなら、俺を俺として見てくれる。そう、思ったから、だな」





今までに見せた事のない優しい目で蓮を見、決意を宿すかのような目で山本を見た。







「……ふむ、では今回の隊主会はこれにて終了する!


朽木は蓮を運ぶのじゃ。他の隊への連絡は後日行う!」





多少のざわつきの中蓮の傍によった斬魄刀は白哉をまっすぐ見て


「頼んだ」


そう一言添えて消えた。








それを見送り蓮に目を移した白哉















(斬魄刀に心があるなど…)









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