6月17日、雨。
“いちにぃ”
俺を呼ぶその声は
“かりんとゆずはボクたち2人でまもろうね!”
もう聞こえることもなく
“こわくなんてないよ?だってボクには、いちにぃがいるもん!”
伸ばしたこの手は
“いちにぃ!だいすき!”
何も掴めず空を切る…ーー
6月17日。
その日は…雨だった。
運命か、それとも必然か…
母さんが死んで四年目の同じ日
愛する者がまた一人、
この世を去った。
母さんが死んで、しばらく塞ぎ込んだままの俺に生きる希望を与えてくれた、たった一人の弟。
家族を護るんだっ…!
お前の笑顔がいつまでも続くように。
そう約束したのに…―――
黒崎 蓮。
行年九歳
失するにはまだ幼く
冷たく表情を変えない今のお前は
これから俺の名前を呼ぶことはない…―――。
護れなかった…
(“いちにぃ…いちにぃは悪くないよ?』)
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