知らない雨に焦がれる。
いたいのいたいのとんでけー。
「おにーちゃん!」
沢田鈴乃、2歳。
母である奈々に頼まれ綱吉を呼びにきた。
「なぁに?スズちゃん。」
綱吉は首を傾げる。
「ママがね、おはなしがあるからおにーちゃんをよんできてって!」
「うん、いこ!」
当たり前のように綱吉が伸ばした手を、鈴乃はぎゅっと握り、遊び場となっている和室を後にしようとする。
が、
ガンッ
うわぁぁぁぁん
綱吉が敷居でつまづいた。繋がれた手から鈴乃も引っ張られたが、こらえた。
「おにーちゃん、だいじょうぶ!?」
「っ、っく」
涙をこらえているけど、ポロポロと瞳からこぼれている。
顔から突っ込んだのか鼻の頭が赤くなっている。
そっと赤くなっている部分に指を添えて、
「いたいのいたいのとんでけー!」
遠くへ飛ばす真似をする。
すると、きょとんと目を瞬かせるツナ。
「いたいのとんでいった?」
そう聞くとパァーと笑顔を浮かべ、
「うん!!スズちゃんはまほうつかいみたいだね!」
「え…えと……ありがとう。」
魔法使いとくるとは思わなかった。とりあえずお礼を言う。
「あらあら、スズちゃんの方がお姉ちゃんみたいね。」
大きな音がしたからかクスクスと笑いながら奈々が出てきた。
「ちがうもん!つーくんのほうがおにいちゃんだもん!!」
必死に言い返す綱吉。
奈々はまだクスクスと笑っているが
「早くこっちにいらっしゃい。パパもまってるのよ。」
と言った。
「うん!!いこっスズちゃん。」
「うん。」
幼児の足でもわずか数秒でつく距離だが、手を繋いで歩いた。
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