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知らない雨に焦がれる。
夏祭り
「おい、お前たち!一人三百円までだからな!」

綱吉が前を行くランボとイーピンに向かって叫ぶ。

「お兄ちゃん、顔にやけてるよ。
どうせ、京子さんと来たかったとか考えてるんでしょ。」

綱吉は変な呻き声を上げて顔を青くした。
図星なんだ。鈴乃はなんとなくおかしくてクスクスと笑う。
屋台を見ながら歩いていると、イーピンが戻ってきて綱吉のズボンの裾を引いた。

「何か欲しい物あったのか?」

イーピンが指さしたのは、チョコバナナの屋台。
綱吉が頼むと聞き慣れた声が応えた。

「獄寺君と山本ー!?」

三人はお互いに驚いたようだ。
綱吉と鈴乃も手伝うことになったとき、不意に周りの人たちが怯えたようにざわめきだした。
ジョバ代用意しとけよ、と隣の屋台のおじさんに忠告してくれた。
獄寺は元々から払う気だったらしく、お金を用意している。

「五万」

ぶっきらぼうに金額だけを提示したのは、

「ヒバリさん!?」

「並中の風紀委員長の?」

鈴乃は名前しか聞いたことなかったが、並中では有名な人であったためにすぐに分かった。
最初は渋る三人であったが、ジョバ代を支払わずに風紀委員に潰されている屋台を目にしたため、五万円をさしだした。

「チョコバナナくださーい。」

雲雀が去ると、入れ違いのようにお客が入った。

「京子さん!ハルさん!」

「すごーい。お店してるの?」

「でも、ちょっと残念です。
みんなで花火見ようって言ってたんで……」

明らかに京子とハルのセリフに浮いたり沈んだりする綱吉。
綱吉は一本ずつ買った京子とハルが去ると目に見えて落ち込んだ。

「じゃあ、早く完売させちゃって、二人と合流して一緒に花火見ましょう!
私呼び込みします!!」

四人で働くがなかなか売れない。
しかし途中でどう入れ替わったのか、大人イーピンによるアドバイスで、瞬く間に売れ筋は伸び、花火までに完売する見込みができた。

「私、少し屋台見てくるついでに京子さんとハルさん探して来ますね。」

「あぁ悪ぃ、ツナ。
おれも五分くらい抜けていいか?」

「お願い、スズ。
山本も今人少ないし大丈夫だよ。」

「景品持ってくるからな!
途中まで一緒いこうぜ、スズ。」

鈴乃は的当ての前で山本と別れ、しばらくすると目的の人物を見つけた。

「京子さん、ハルさん!
花火までに完売できそうだから、花火一緒に見ましょう!!」

「わ、そうなの?」

「良かったです!」

笑顔になる京子とハル。

「ちゃおっす。」

リボーン!?異口同音に三人発する名前に、呼ばれた赤ん坊は笑って答える。

「花火が始まる時間になったらココに来い。
ツナたちも行かせるからな。」

リボーンは手書きの地図を置いて去っていった。
様々な屋台を巡った後、リボーンに指定された場所へ行くとみんなボロボロだった。
タイミング良く始まった花火。
他に人がいないその場所は穴場らしい。

来年もまた見れたらいい。

近付いてくる波乱に鈴乃は思いを馳せた。

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