知らない雨に焦がれる。
リゾート
ゴールデンウィーク。
「やったわ!」
買い物に行っていた奈々がキッチンへ駆け込んできた。
「お茶のペットボトルの抽選プレゼント一等当たったの!
船に乗って島に行く旅!!」
船と聞いて躊躇する綱吉。
なんか聞いたことある話だ。
鈴乃が悩んでいる間に綱吉は懐柔されたらしく、
「どーしてもって言うんなら行ってやってもいいよ…」
なんて言っている。が、奈々は不安げに口を開いた。
「母さんランボ君とイーピンちゃん達をおいて家を開けられないでしょ?
だからスズとツナで行ってきたらどうかしら。」
そう言う奈々に行きたくなかったスズは申し訳なさそうに言った。
「ごめん、私友達と約束あるんだ。
ランボとイーピンは私が見てるからさ、二人で行ってきなよ。」
実際明確な約束はしていないが、遊ぼうね、とは言い合っている。誘えば付き合ってくれるだろう。
「そうだぞ。」
いつの間にかリボーンとビアンキが入り口に立っていた。
「私もチビ達の面倒みるわ、安心して。」
「まぁ、本当!?」
奈々は嬉しそうだが、綱吉はげ、と顔をひきつらせた。
*****
「それじゃあ、いってくるわね。」
「達者でな。」
船の前で見送る鈴乃とビアンキとリボーン。ランボとイーピンは駆け回って遊んでいる。
「よし、行くぞ。」
二人の姿が消えると、リボーンが言った。
「い、一応聞くけど、どこへ?」
あれだ、とリボーンが指さしたのは先ほど奈々と綱吉が乗った船。
「わ、私友達と約束が!!」
「嘘だろ。」
リボーンにさらりと返され鈴乃はうなだれる。
「ほら、行くわよ。」
ビアンキに引きずられながら鈴乃は進むこととなった。
忍び入るでなく、しっかりと手順を踏んで船へ乗り込む。
「うわぁ、」
中にはドラマやマンガでしか見れないようなレッドカーペットの敷かれた大きな階段があり、お城に入った気分になる。
「飯食うぞ。」
「ねぇ、リボーン。私見て回ってきていい?」
ああ、と返事を貰ったのでいってきまーす、と呟いて四人と別れた。
しばらく、歩いているとバタバタと激しい足音が聞こえた。
「お兄ちゃん?」
「んな、スズもいたのー!?」
どうかした、と尋ねる間もなく綱吉に腕を引かれ、一つの部屋に放り込まれた。
「ちょっとそこにいて!」
綱吉はそう叫ぶと、再び慌ただしく去っていった。
部屋を見渡すと、顔色の悪いランボと訳が分からないという顔をしたイーピンがいた。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!