知らない雨に焦がれる。
並中一年生
無事に入学式も終わり、晴れて並盛中一年生となった鈴乃。
先に学校が始まった兄の綱吉はやたら疲れて帰って来ていたが、もっぱら薄くなってきた記憶を辿ると内藤ロンシャンが出てきたため納得し、害はないため放置する。
本音は関わりたくない、だ。
中学になると、近隣の小学校から上がってくるため、クラスの半分かそこらは見知った人、少なくとも顔は知っている者がいる。
鈴乃は知り合いがいないため、そこそこ不安だった。
その不安も無用で終わった。
前の席の女の子が話しかけてくれた。とてもいい子だ。
そんな中学校生活も始まって三日。鈴乃たち一年生は授業が始まったばかりだ。
綱吉は日直だ、寝坊した、と慌てて出て行った。その後に残ったのは奈々お手製のお弁当。
「あらあら、大変ねぇ。
スズちゃん、ツー君に届けてくれる?」
これが今朝のことだ。
2−Aの教室を覗き込む。と、声をかけられた。
「お、一年じゃん。どした、迷ったか?」
「沢田綱吉はいますか?」
男子生徒にそう尋ねると、ゲラゲラと笑い出した。
「ダメツナに用があんのかよ!」
教室中に響く声で笑い続ける。
「山本先輩でも、獄寺先輩でも良いです。呼んでください。」
教室で友人を待たせてあるのだ。早くしてほしい。
「スズちゃん!」
自分で探そうとキョロキョロしていると、名前を呼ばれた。
「京子さん!!お兄ちゃんいませんか?」
「ツナ君?いるよ。」
こっちこっち、と京子は手招きをする。
教室に入れということなのか。
先に京子が綱吉に話しかけたのか、綱吉が顔を上げ、山本と獄寺もこちらを向いた。
「こんにちは、山本先輩、獄寺先輩。
はい、お兄ちゃん。お弁当。」
「ありがとう、スズ!!」
綱吉の目が輝く。
「良かったな、ツナ。
そうだ、スズ。一緒に飯食わねぇか?」
山本が笑って誘う。
「すみません、教室で友達を待たせてるんです。」
「そっか、そりゃ急いで戻ってやらなきゃな。」
鈴乃が断っても山本は笑ってひらひらと手を振った。
「お兄ちゃん、次忘れても届けないからね。」
鈴乃の言葉に京子と山本が笑う。
綱吉はばつが悪そうにしながらも、再度ありがとうとつぶやいた。
そして鈴乃は2−Aの教室を去った。
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