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知らない雨に焦がれる。
ファミリー

「お兄ちゃん、入るよ。」

ドアが開けっ放しだったため声をかけるも、返事を待たずに気まずい沈黙の満ちた部屋へ入った。

「紹介するよ。俺の妹の鈴乃。
スズ、こっちは友達の獄寺君と山本。」

待ってましたとばかりに綱吉が口を開いた。

「はじめまして、綱吉の妹の鈴乃です。スズって呼んで下さい。
えっと、今年から並中の一年生になります。」

鈴乃がニコリと笑うと、突然獄寺が頭を下げた。

「申し訳ありませんでした!
十代目の妹君とは知らず………」

頭を打ちつけんばかりに頭を床にこすりつける。
昔から思ってたけど鬱陶しい。それが良いところでもあるが。
若干本音が漏れる。

「気にしないでください。」

「いえ、そういうわけにはいきません。
妹君にご無礼を………!!」

「私は気にしてませんから。
それより、私のことはスズと呼んでください。」

「いえ、十代目の妹君を呼び捨てなど。」

引き下がらない獄寺に鈴乃は最終手段を行使する。

「じゃあ、そのお詫びに私のお願いを聞いてください。」

何なりと、と獄寺は目を輝かせて顔を上げた。

「私のことをスズと呼んでください。あと、敬語を使わないでください。」

そう言うと、獄寺は眉間にしわを寄せながらも納得した。
鈴乃が少し満足げに微笑んでいると、横から力なく呼びかけられた。

「ごめんね、武くん。
お兄ちゃんと友達って知らなかったから。」

山本はようやくいつものように笑った。

「いや、いいって!
世間って狭いもんだな。」

山本はポンポンと頭を撫でる。
そんな二人に恐る恐る綱吉が尋ねる。

「知り合い?」

「昔何回か話したよね?
いつも野球してたお兄さん。」

「え、えー!?」

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