知らない雨に焦がれる。
帰宅
帰国後、空港まで迎えに来たのは奈々だけだった。
日本を出るまで可愛がってくれていたとは思えないほどの薄情ぶりだ。
実際には鈴乃が綱吉を可愛がっていたようにも見えなくはなかったが。
久しぶりの我が家はたいして変わった事はなかった。
が、鈴乃の部屋はかつてのファンシーな小さな家具はなくなり、きれいな新品の家具に変わっていた。
事前にイタリアから送っていたダンボールが数個重なってはいたが、部屋は埃一つなく綺麗だった。
「スズちゃんが帰ってくるから張り切って掃除したのよ。」
奈々は微笑んだ。
「ありがとう、お母さん。」
「じゃあ、私は下で夕ご飯の支度をしているから。
もし、家具を動かしたりで手伝いが必要だったら言ってちょうだいね。」
奈々が部屋から出て行って、ダンボールを一つ開けた。
不便はなかったので、家具は動かさなかった。
数時間で整理が終わったため、下へ降りる。
「お母さん、終わったよ。
何か手伝うことある?」
「ダメよ。スズちゃんは今日の主役なんだから。
そうだ、お風呂に入ってきなさいな。」
鈴乃は奈々に背を押されて風呂場へ追いやられた。
今からダイニングへ戻っても小言をもらうのが目に見えているので、大人しく従うことにした。
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