知らない雨に焦がれる。 さらば、イタリア 部屋に帰り着くと、用事が終わったのか家光はすでに部屋にいた。 戸を開けた途端に二人は家光に怒鳴られ、もこもこの絨毯の上に正座。 これがジャパニーズ土下座、と目を輝かせるバジル。 おしい、これは土下座ではなく正座だ。 鈴乃はそんなバジルを横目に家光の説教を聞き流す。 「で、言いつけを破った理由は何だ?」 一通り言い終えた家光が尋ねた。 そして、素直にバジルが理由を言うものだから鈴乃だけさらに説教。 バジルは終わりと言われて残念そうに立ち上がった。 そんなにしたいなら代わってあげるよ。 言いたいが言えない。家光の小言が増えるのが目に見えている。 説教をBGMにぼーっとしていると、家光の声のトーンが急に変わった。 「いいか、ツナは最有力のボス候補なんだ。 ツナとその守護者の中じゃおそらく最強の部類だ。」 いや、雲雀さんと骸には負けるよ。 その言葉は心の中に留めておく。 「お前が一番戦場を知っている。お前が守護者の要だ。 修行を怠るな。油断するな。常に冷静であれ。」 九代目の所行くぞ。 明日、日本へ帰る。今日は九代目にお別れの挨拶をしに来たのだ。 九代目とは、公的な立場での話しかできず、堅苦しいままに会話は終わった。 日本を離れて早二年。 『物語』は既に始まっている。 [*前へ] |