知らない雨に焦がれる。
望まない再会
「もっと近くへ来なさい。」
九代目と鈴乃と家光と二人の護衛しかいない広い部屋に響いた。
その言葉に家光は立ち上がり、鈴乃の背を軽く押し、前へと促した。
鈴乃が九代目から三歩程離れた所まで歩くと、九代目は椅子から立ち両膝をついて鈴乃の目線の高さまでしゃがんだ。そのまま手を伸ばし、指先に触れた小さな肩を引き寄せた。
「すまない。
会いたかったよ。」
「私もです。」
九代目ともおじいちゃんとも呼べなかった。
代わりにきゅっとすぐそばにある温もりに腕を絡めた。
「さぁ、鈴乃ちゃんには悪いけど、明日1日でゆっくり休んで、明後日から修行を始めてもらうよ。
今日はもう夕飯を食べてお風呂に入って早いかもしれないがすぐに休みなさい。
君の師匠は厳しいだろうからね。」
九代目は膝をついたまま目を合わせてにっこりと笑って言った。
その言葉に家光は苦笑いした。
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