知らない雨に焦がれる。
子犬と死ぬ気の炎
「スズちゃん、あそぼー!」
家に帰り着くなり、鈴乃に遊ぼうとせがむ綱吉。
「うん。何するの?」
「ボール!!」
「じゃあ、おそといこっ!」
しばらくころがしたり、少し弾ませたりしていると、
あんあん!
玄関の門の方から犬の鳴き声が聞こえた。
「あっ、かわいい!」
入って来たのは小型犬、おそらくチワワだと思われる。
鈴乃は内心ツナはコレが怖いのかと考えていた。
「おいでー」
動物好きの鈴乃は少しハイテンション。しゃがんで犬を呼ぶが、脇を走り抜けてしまった。
「わぁー」
綱吉の悲鳴に振り向いてみると、綱吉は目に涙を浮かべて固まっていた。
しっぽ振ってる。懐かれてていいなぁ。
そう思いながら少し助言してみる。
「おにーちゃん、なでてあげたら?
そぉっとよしよししたらかまないよ。」
「うぅぅ………ぅわぁっ!?」
綱吉が唸り怯えながらそっと手を伸ばすが、犬は綱吉に飛びつき、綱吉は尻餅をついてしまった。犬はそのまま、綱吉に前足を乗せてしっぽを振っている。
「うわぁぁぁん」
綱吉はとうとう泣いてしまった。
見向きもされなかった鈴乃にとっては羨ましい限りである。
しかし、かわいいお兄ちゃんがいつまでも泣いているのは嫌なので、犬をどかしてあげようと歩きだした。
そして、鈴乃はぽぅっと綱吉の額に灯ったオレンジ色の炎を見た。
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