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銃と錬金術と二つの世界
クッキー
「あの、私はルーチェと言います。
このクッキー手作りなの。どうぞ。」

そう言ってラルにクッキーの入ったカゴを差し出す。が、

「他人からもらった物は口にしないようにしている。」

ラルはまっすぐ向いたまま冷たく断る。
ルーチェが少し悲しそうに目をふせるていると、スカルが横からクッキーをとる。
それを見て、クスクスと笑う。

「あたしももらっていーですか?」

キアラも口を開く。
ルーチェは微笑んで、

「どうぞ。」

と言った。

「ありがとうございます。」

と言って手を伸ばすと、キアラと低い声で静かに咎めるように名前を呼ばれた。

「いーでしょ?お腹すいたし、おいしそうだもん。」

クッキーを一つ摘み、口に入れる。

「とてもおいしいです!あとで作り方教えてください!!」

「いいわよ。」

「ありがとうございます!!」

ルーチェは他の人にも勧めてまわるが、受け取ったのは、風だけであった。
最後にリボーンにたどり着いた。

「あなたもいかが?」

リボーンにルーチェが問う。

「甘いものには興味がねぇんだ。」

リボーンはそう冷たく断るが、ルーチェは再度問う。

「そう、じゃあコーヒーはいかが?
おいしいエスプレッソをいれてきたの。」

「わかってねぇな。俺が言いたいのは」

「リボーン。」

キアラが幾分か下がったトーンで話すリボーンを諫めようと名前を呼ぶが、ルーチェの小さな笑い声と重なった。

「疑うのなら私が先に毒味をしましょうか?用心深いヒットマンさん。」

そう言ってルーチェはコーヒーを入れ始める。

「わかった。
もらうぜ。エスプレッソは好物だ。」

キアラは短時間でリボーンの警戒を解き、リボーンに諦めるような息を吐かせたルーチェに感心する傍ら苦笑した。

それから何日か過ごすようになって、キアラはルーチェに約束通りクッキー作りを習い、敬語を崩すほど仲良くなった。



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あきゅろす。
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