銃と錬金術と二つの世界
異世界
「ところで、お嬢ちゃんは迷子かい?」
…………この人には俺が迷子に見えるのだろうか?
「そう見える?」
「いや、見えん。」
即答するなら聞かないでほしい。
「お前は何者だ?」
「…異質な存在。」
彼はなぜか少しビクッとした。
「どういうことだ?」
「………」
「………言いたくないなら言わなくてもいい。」
気まずそうに口をつぐむ俺に、彼はそう声をかけた。
違和感もあるだろうし気にならないわけではないだろうが、話したくないことを根掘り葉掘りは聞かないだろう。
こっちだって彼の気配に違和感を感じているんだ。俺だって根掘り葉掘り聞くほど子どもじゃない。見た目は子どもどころか赤ん坊だが。
まぁ、普段なら銃を突きつけてでも聞くかもしれない。だが、ここは異世界。敵のヒットマンなどいる訳ないし、この人からは、嫌な感じがしない。
それを兄に言うと『あめーな』なんてバカにされるだろうが。
「じゃーね、おにーさん。」
この体じゃ動きにくいだろうから早めに寝る場所を探さなければ。お金がないからもちろん野宿だ。
2、3歩踏み出すと、ふっとあたしを襲う浮遊間。
「家はどこだ?」
男はあたしを抱いたままゆっくりと歩き始めた。
「………ホテル。」
「この辺にはないぞ。」
「…………」
沈黙を返した俺に再度問う。
「家は?」
「………………ない。」
呟くように言うと男はピタッと止まった。見上げると呆けた表情、うん、おもしろい顔。
しかし、数秒後には元の顔にもどり、クルリと方向転換すると先程より早く歩き始めた。
「おぃ、どこへ行く。」
「俺の家。」
「は?」
今度はきっと俺が呆けた顔。
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