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こころとふれあい 1

綾波はそのあと少しだけ会話をしてそのまま帰ってしまった
呆気に取られていた僕は自然とリツコさんと二人きりになる

「…名前(カタカナ)君は何番目だったんですか?」



「シンジ君、貴方と同じ3番目よ。ただ、本人が失われた時に記録が抹消されそうだったの」

聞かなければよかった
自分の近い未来を知ってしまった気がして、息が詰まる



「このエヴァは戦闘特化改良型初号機。シンジ君の初号機やレイの零号機より性能が上で、特に機密が多いのよ」


でも名前(カタカナ)にしか乗れないとリツコさんは言った。

その時の表情が一瞬苦しそうに歪んだ気がした


「表向きは特殊な検体の保存と、機密の保持。実際には名前(カタカナ)を殺さない為の半永久欠番"lost"なのよ」


「…僕がサード・チルドレンでよかったです」


リツコさんは驚いた顔をしたけど、直ぐに優しく微笑んだ
この笑顔は僕じゃなくて名前(カタカナ)君に向けられている気がする

うらやましい
なぜかそう感じた。







こころとふれあい 1






「シンジ君も好きなときに来ていいわよ」

じゃぁねとリツコさんはどこかへ行ってしまった


「(話しかけてねって言われても…)」

困るなぁ…初対面?だし


「"きみだれ"」

「っ!!ぼぼくは碇シンジですっ」

「"はじめまして"」



「"あたらしいてきかくしゃ"」








「とにかく分からなくなったんだ」


だから逃げ出した
ミサトさんから
エヴァから
父さんから


「名前(カタカナ)君はどうしてエヴァに乗ったの?」

「"それしかなかったから"」

どうしてこんな話しをしてるんだろう
顔も見れない、声も聞こえない、まして身体がないなんて

「苦しく、ない?」

「"しんじもだいじょうぶ"」

「…え?」

「"まもってあげる"」

「と、突然どうしたの!?」

「"くらいかおしてる"」


み、見えてるんだ…
このエヴァ、目どこについてるんだろう

「"どうかした"」
「…なんか、普通なんだなって」


そう、名前(カタカナ)君は何も僕と変わらない、少しだけ不自由なだけで、ちゃんと…




「…生きてるなって」


「"うん"」
「"しんじもいきてる"」




なんでだろう、すごく安心する


「また、来てもいいかな」

「"まってる"」

「ありがとう」



名前(カタカナ)君は僕の欲しい言葉をくれたような気がした





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あきゅろす。
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