しあわせのかたちとぼく 1 僕は僕が誰かよくわからない。 名前は渦乃名前(カタカナ)。 14歳、エヴァの適格者。 だったら? 僕はなんでここにいるの? しあわせのかたちとぼく 1 「出来損ない、何の為に生まれてきたのよっ!!」 殴られる。 固い手が頭に当たって、目の前が一瞬真っ白になった。 「私に恥ばっかりかかせて」 また、殴られる。 痛い、痛い、痛い、痛い。 「本当にアイツに似てるわ」 アイツは誰? アナタは誰? わからない。 でも、痛いはわかる。 僕の身体が痛いはわかる。 「いつになったらまともになるのよ!!」 鈍い音がどんどん大きく聴こえる。 耳の外から、身体の、骨の中から、いっぱい聴こえる。 苦しい。 僕の足元に赤い斑点が出来ていく。 この人とおなじ赤。 この色は嫌い。 この人も嫌い。 「あんたなんか死ねばいいのに」 死ぬ。 死ぬは痛いから逃れること。 今はすごく痛いだから、逃げたい。 痛いがなくなるなら、 死にたい。 早く、 真っ白な部屋。 まだ、いきてる。 なにかついてる? 点滴? 右手も左手もあったかい。 あたたかいは安心。 痛くない。 水色と黒のまる。 「…レイ、シン、ジ?」 ベッドの縁に突っ伏して、静かな寝息をたててる。 「…ただいま、はじめまして」 あたたかくて安心したら眠くなった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |