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めざめとしあわせのかたち 2

それからというと、名前(カタカナ)君は事あるごとに私の所に預けられた。

「私の研究室は託児所じゃないのよ?」

本当に悪いわねお願いよ、だなんて上目遣いで頼まれたって私には意味ないわよと心の中で毒気づくけど、この人は気付かない。
すぐに部屋を後にして、名前(カタカナ)君を置いていく。



「…ごめん、なさい」

残された名前(カタカナ)君はいつもこう。立ち竦んで俯いたまま、小さな声で謝る。

名前(カタカナ)君は悪くないし、むしろ気に入ってる。

「大丈夫よ、名前(カタカナ)君おいで」


そういって手を伸ばすと手のひらに擦り寄ってくる彼は、弱った子猫のようだった。







 めざめとしあわせのかたち 2







"名前(カタカナ)…起きて"
(だれ…)

"私のかわいい名前(カタカナ)"

(ぼくはだれにもあいされなぃ…)



"私は貴方を愛してる"

(うそ)


"憎いくらい愛してる"


(…!!)




その瞬間心にノイズが流入する


"愛してる"(うそ!)"貴方だけを愛してる"(でていって!)"貴方だけを護ってあげる"(やめて!どうして…)"貴方は私の名前(カタカナ)だから"(…ぼくは)



(ぼくはなに)



(やっぱりうまれてこなければよかった?)



"名前(カタカナ)私の可愛い赤ちゃん…"


(…おかあ、さん?)




"生きて"






ノイズが心から消える
そして、すべてが戻った



「(…てがうごく)」
「(…からだは、おもたぃ)」

「…(こえでない)」




『…ントリープ、グ内生体反のぅ』

『強…ゃ出してLシー、排水、ぃそいで』


『――名前(カタカナ)く…名前(カタカナ)君っ!!』




聞こえる
リツコさんのこえ






「…ただぃ、ま」


重い目蓋を持ち上げたら、リツコさんが僕の身体を抱えて起こしてくれてた。
声も少しでた。



「(あったかぃ…)」



そこで僕の記憶は途絶えた。






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