おしえてよ
9
晩ご飯が用意出来るまで父さんと話していた。
普通の16歳なら、今は反抗期なのかな?
親父と口も聞きたくないぜとか思うのかな?
俺には縁のないことだね。
父さんも母さんも好きだから。
感謝しないとか有り得ない。
ましてや暴言とか!
俺は家を出たらあんなんだけど、家族は大事にするんだからな!
ほらみんなも今日帰ったらご両親にありがとうって伝えなさい!
俺との約束ね!!
そして目の前にはハンバーグ…!
いただきま〜す!
「そうだ、矢凪…」
「うん?」
「学校はどう?」
「楽しいよ〜通えるだけで嬉しいから!」
「そんな……貴方が頑張ってるからでしょう?」
にこっと笑って見せるも、母さんは困ったように笑っていた。
俺は洲王学園に特待生として入学したため、学費は全て免除して貰っている。
育ててくれているだけで十分なのに、学費まで面倒かけられないからね。
だから、特待生をとってくれる洲王を選んだんだ。
普通に通おうと思ったら、こんなところ通えないよ?。
まぁそのお陰で俺の周りは、有り難いことに俺に貢いでくれる子で一杯なんだけど。
「ねぇ矢凪、もっと我が侭を言ってもいいのよ?」
「ん〜…じゃあ、おかわり欲しいな!」
勢いよく差し出す茶碗。
母さんは「はいはい」と可笑しそうにして茶碗一杯にご飯を盛ってくれた。
そう、笑ってる母さんの方が好きだよ。
「……矢凪」
「なに、父さん?」
「と…父さんにも、何でも言ってきていいからな…」
「……ぶふっ」
「あらあら、お父さんは照れ屋さんね」
「……う…うるさいっ…」
「あははっ!また考えとくね〜!」
やっぱり父さんも好きだ!
こんなに幸せな空間にいていいんだろうか、って思うくらい幸せ。
この日常が崩れる日が来るなんて、ほんと夢にも思わないよね。
ま、それはまだ向こうのオハナシ。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!