おしえてよ
8
「だーめ。前にも言ったでしょ?俺は誰とも付き合わないの〜」
ぽん、と頭を撫でて宥める。
それでも不機嫌そうにこちらをみているのだけれど。
まぁ拓人さんはちょっと特別かな。
うちのNo.1だし美人だし、ね。
「そんな睨まないでよ〜。ほら、俺もう帰るよ?」
話を逸らすように、床に落ちたシャツに手を伸ばした。
すると諦めたのかゆっくりと身体を起こし、服を着始めた。
「……今日は、諦める」
あら、諦めてなかった。
まぁいつもこんな感じだし、いっか。
その日はその場で解散した。
俺と拓人の家、逆方向だしね。
家まで送れよ、とか思うかもだけど考えてみて?
拓人は俺より強いんだよ。
守る必要ないじゃん?
勿論、可愛い女の子なら送るけどね。
遅くなると父さんと母さんに迷惑かけちゃうし。
さぁて、今日の晩ご飯は何かな〜!
ーーーーー
「ただいま〜」
「おかえり、遅かったのね」
「うん、友達に誘われて遊んでたんだ」
うん、間違ってないよね。
嘘つくと後ろめたくなるから事実を織り交ぜて、ね。
「あらそうなの!ご飯は食べた?今日はハンバーグなんだけど…」
「いるいる!もうお腹減ったよ〜」
「ふふっ、じゃあちょっと待っててね」
母さんはぱたぱたとキッチンへ急いだ。
母さんは若々しくて美人で可愛い。
結婚するなら母さんみたいな人って決めてるんだ。
父さんは……
「あ、父さんただいま」
「…おう」
「おかえり、じゃないの?(笑)」
「……おかえり」
「あははっ、ただいま〜!」
父さんは寡黙でちょっと照れ屋さんだね。
厳しいときもあるんだけど…でも、本当の息子みたいに育ててくれてたんだから感謝しかない。
ほんと俺、恵まれてるなぁ〜。
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