おしえてよ
7
みるみる内に赤く染まる頬。
ほんと、拓人さん…拓人は可愛い。
黙って俯き、そっと俺の背中に腕を回した。
洲王のNo.1で誰よりも強い人が、本当は可愛くて甘えたがりなんて笑えるでしょう?
こんな姿知ってるの俺だけ。
拓人がこんなに可愛くなるのは俺の前でだけなんだ。
「……なぁ矢凪、そこの鍵閉めて…」
あーあ、スイッチ入っちゃったみたい。
熱の込もった眼と声は拓人のお誘いの合図。
「ふふ、りょーかい」
俺は軽くキスを落とすと、静かに鍵を閉めた。
ーーーーー
「ん゙……」
「あ、起きた?オハヨ」
「おぁ゙よ…」
掠れた声と露わになった肌が事後であることを知らせてくれる。
眠そうに目を擦る拓人は、寒そうに俺の方にすり寄ってきた。
「あは、拓人可愛いよ」
目元にキスを落とすと気持ちよさそうにふわっと微笑んだ。
これで落ちない奴いないんじゃない?
「なぁ矢凪……」
「ん?」
「好き」
「うん、知ってる〜」
「……じゃあいつになったら付き合ってくれる」
……また。
いい加減諦めればいいのに。
普通の人ならこれ、付き合ってるように見えるよね。
残念ながら付き合ってませ〜ん。
俺は誰とも付き合わないの。
だって、どうせ俺が好きになっても、あの時みたいに……
……あーーーやめ。
さっきのなしね。
俺にはもう家族がいる。
そんな昔のこと、もう時効でしょう?
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