[携帯モード] [URL送信]

黒猫の歩み(長編集)
第四節〜【覚悟】〜
第四節〜【覚悟】〜





「もー!!落ち着く暇も無いじゃないかぁー!!」
「文句ばっか云ってねぇで、走れ慶次!!」

二人の男は、石畳の廊下を一心不乱に疾走して居た。
其の後から地響きと共に転がるは巨大な岩で造られた大玉で、通路幅と同一の直径で設計させて居た。
然し、前方に差し掛かるは通行止めの石畳の壁。
打が、何かを発見した紫の武人は黄の武人と共にスライディングした。
どうやら、しゃがまないと通行出来ない隙間が隠されて居た様だ。

「・・・助かったよ、有難う元親」
「礼なんかいらねぇよ・・・其よりも」
「うん・・・此所が、最初の広場・・・」

彼等が辿り着いた場所は休憩広場だった。
ソファや、食糧や飲料水の類いが置かれた机が設置去れて居た。
彼等より先に到着した者達は、其々一思に休憩して居た。
傷を手当する者。
食事する者。
恐怖で怯える者。
忙しなく動き回る者。
考え込む者。
何かを探し回る者。

『・・・誰が、何の為にこんな場所を?もしかして、此の先・・・今までよりも過酷打からか?』
「・・・ほれ、慶次。水と食い物持って来た」
「あ・・・有難う、元親」
「・・・其よりも・・・まだ来てねぇ奴等が多い、な・・・」
「そう、だね」

床に座りながら食事する二人に近付く人物が一人。

「・・・どうやら、貴様等も辿り着いた様だな」
「サヤカ?」
「孫市?!良かった、無事だったんだね!!」
「・・・サヤカと呼ぶな烏が・・・其よりも、二人に話がある。着いて来い」
『・・・?』

二人が連れて来られた場所は、先程の部屋とは異なり、こじんまりした部屋だった。
其所に居たのは、顔面蒼白した友人の姿だった。

「・・・旦那・・・旦那、何処に行っちゃったのさ・・・」
「猿飛、何があった?」
「・・・・・・旦那・・・旦那が、何処にも居ないんだ・・・此所に来るまでは一緒だったのに・・・途中ではぐれて、其で、其で、一生懸命探したけど・・・何処にも居なくて・・・誰も、旦那を見てないって云って・・・旦那・・・旦那が、」
『・・・此は、相当参ってるな・・・無理もねぇ、何時も一緒に居たからな・・・其れ丈心配なんだろう』

其を遠く離れた場所で見て居る者が二人。
壁に寄り掛かり、不機嫌そうな表情で左頬に傷痕がある男。
其の男の身体に抱き付く隻眼の男。

「・・・政宗様、如何致しましたか?もしや、体調が優れないので?」
「・・・そうじゃねぇ・・・何となく、何となくだ」
「・・・政宗様、小十郎は政宗様の御傍に居ります。御安心を」
「・・・・・・ん、Sunkus小十郎」

心地好い彼の体温。
嗅ぎ馴れた彼の匂い。
半身でもあり、居場所。
彼が傍に居れば、何もいらない。
彼丈が、理解してくれる。

「・・・小十郎」
「何ですか、政宗様?」
「・・・呼んだ丈」
「・・・全く、仕方無い御方だ」

彼は渡さない。
絶対に渡さない。
彼が誰かに獲られる位なら・・・ー

『・・・生きろ、生きてくれ小十郎』

ー・・・彼ヲ護ル、夜叉トナロウ・・・例エ、此ノ身ガ果テヨウトモ・・・彼丈ハ、護リ抜ク・・・!!




† † † † † † † † † † † † † † †
政宗様の独占欲を執筆したかった回
っても序ノ口ですが……
小十郎を欲しがる人って云ったらあの人しか浮かばないうp主……
だってあの人、欲望に忠実ナンダモン

2016.4.9 Black Cat

[*前へ]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!