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『小虎の恋模様』
3


夏休み初日―――予定通り補習を受けに指定の生徒が教室に集まっていた。
人数や行う教科によって教室は分かれてはいるが、各学年の三教室のみ使用され、一日三教科ずつ受ける形となっている。
初日から小虎と草間は補習を受けにきていて、まず小虎は化学、草間は数学と別の教室で受けた。
因みに小虎も数学の補習を受けなくてはならないが、別教科と被ったりしない様調整して受ける為、数学は後日行われる時に混ざる事となっている。
普段の授業中も静かなものではあるが、補習期間中はそれが更に静かで担当教師の声が他の教室にまで響き渡る。
補習期間中もチャイムで始終の知らせを受け、一日目の補習は何事もなく無事に終了した。


「ほい、お疲れ〜」

「ありがとう」


補習後に小虎と草間は食堂近くの自販機に寄って疲れを癒す様に飲み物を購入した。
この後は特に用もない為、ほんの少し休んでいこうと中庭にあるベンチに着く。


「小虎は補習終わったら家帰るんだろ?」

「うん。GWに殆んどいなかったから今度は少し長めに帰ろうかと……」

「んじゃ、帰省中も暇だったら遊ぼうぜ?オレ、わりかし暇してっからさ」

「良いよ。ボクも多分暇してると思うから」

「……あと、課題も一緒にやるか……」

「…………うん……」


はぁ、と二人して大きな溜め息を吐いて夏休みの約束を交わしたのだった。
その後、少し休んでから二人は立ち上がり、小虎は生徒会室へ、草間は寮へと戻って行った。



補習二日目は小虎は一教科のみ受けたが草間は本日の補習はなかった。
小虎は補習が終わり次第、昨日同様に生徒会室に向かった。
理由は、一日目と同じく受けた補習が一番最初に行われた教科で、残りの二教科分の時間に空きが出来たから、補習期間に参加しているといえど少しでも生徒会役員としての役割もこなそうと思ったからだ。
生徒会室の扉を開ければ、それぞれが机に向かって書類に目を通しているやら談話している中、小虎に気付いて皆に迎え入れられた。
今の所トラブル等は殆んど起きていないという事に安堵の息を吐き、小虎も席に着き談笑を楽しんだ。
小虎と山内が一緒に夏休みの課題に手を付けていれば、それを見た紀野や綾小路に教わりながら少しずつ課題を片付けていった。
補習終了時間を知らせるチャイムが鳴り、生徒会も一緒に寮へと戻る、これが補習期間中の基本的な行動内容となる。
小虎も残りの指定教科の補習を受けなくてはならないが、トラブルもないみたいで安心して寮へ帰った。


2015/11/27.



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