『小虎の恋模様』 2 春休み終盤頃に入寮を済まし、初等部からいるという同室者とも問題なく日々を過ごし、入学してから聞かされた昔から男子しかいないこの学園では当たり前だという特色を目の当たりにしたり。 その特色というのは、幼い頃から周りは同性ばかりで、思春期を迎えても男、男、男。 つまり、そういう意味で同性を意識し、その流れに乗る者が多くいるらしい。 ボク以外の少数の外部生たち―――わりと学力面でも有名な為、外部入試も難しく、合格者は受験した内の極僅かだった―――からしてみれば、とても不思議で若干引いている人もいた。 ボクもその内の一人でびっくりはしたけど、それに偏見はなかった。 別に自分がもともとそっちの気があるって訳ではないが、恋愛は自由だもの。 それに好きな人が出来てその人の為に努力したり、仲睦まじくしているのを見たりすると、頑張れ、良かったね、って思えるから。 親衛隊、とかいう人達もいたりするが、その人達は好きな人を崇拝し、護り、良い事も悪い事もなんでもする集団で、それはまた別な感じで若干怖いから見ないようにしている。 だから自分にはそれに関しては無関係だからなんとも思わなかった。 それにボクはわりと人見知りな方だ。 あまり目立つ事や人との関わりを苦手としているし、ましてや外部生の平凡で頭もそんなに良くない地味なボクに誰かがそんな目を向けてくる筈がない。 そういう訳で安心して学園生活を送っていた。 ―――そんな自分に恋愛沙汰なんて無縁だろうと思っていたが、ある日ボクはこの学園の特色にすっかり足を踏み込んで染まってしまったのであった。 2015/3/25. [*前へ][次へ#] [戻る] |