『小虎の恋模様』
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中学三年の夏、ボクは受験を予定している高校へ訪れる見学会に参加して、その敷地の広さや建物の大きさに、口が開きっぱなしだった。
周りにいる生徒たち―――皆制服はバラバラだったり、数人同じ物を着ている人もいる―――も同じ感想なのか、呆けた顔で辺りを見ている。
ボクらは外部入学を目指している一般生徒で、この学園は小･中･高とエスカレーター式の、所謂お金持ちの生徒が殆どを占める、全寮制の男子校―――蓮見学園に、ただただ驚かされていた。
簡単な学園の説明と、寮の雰囲気を説明され、あとは無事に合格した者だけが詳しい説明を受けられる、という事で見学会はこれでお開きになった。
―――夏休みの見学会から数ヶ月。
蓮見学園の外部入試の日になり、ボクも出来る限りの事をした。
結果から言えば、ボクは無事に合格し―――合格ラインギリギリだった……―――その馬鹿でかい門を潜る権利を得たのだ。
2015/3/21.
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