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■短編■
2015/7/2〜【居眠り王子とオレ】


【居眠り王子とオレ 1】


青い空に澄んだ空気。校舎から騒がしい生徒達の声が微かに響いている。
昼休みの今、屋上でオレ―――富山 鈴(トヤマ スズ)は胸を高鳴らせながら一人、その扉を開かれるのをじっと待つ。
今のオレのテンションは異常に高い。
何故ならば……オレは今日、人生初のラブレターを貰ったからだ!!
今朝、登校して下駄箱を開けたら上履きの上にちょこんと置かれたその存在に「ベタだな」と思いながらもその時からテンションが急上昇。
さっき言った通り、十年間も共学校に通っているというのに、オレは今まで彼女どころか告白すらした事もされた事もない。
嬉しさと緊張とでこっそりとトイレで読んでみれば、可愛らしい絵柄の手紙に綺麗な字で『大切なお話があるのでお昼休みに屋上に来てください』と書かれてあった。
これはもう告白以外の何ものでもないでしょ!!決定的でしょ!!
それからの午前授業はそわそわしっぱなしで集中出来なかったのは言うまでもない。
遂に昼休みとなり、逸る気持ちで訪れてみれば、まだ誰もいなくて少しだけほっとしたのが数十分前。
そのまま待っているけど、なかなか扉が開かれる気配はなく「実は悪戯だったり?」と不安が過ったその時、扉からがちゃりと音がした。
どきりと肩を跳ねさせ扉を見れば、そこから一人の女子生徒が。


「やっぱり……もう来てたのね」

「……え?あ、うん」


やって来た女子は悪びれる事なく溜め息を吐く。
クールな性格をしている彼女は同じクラスの子で、意外な所が来たとオレは若干の冷や汗を流す。


「あの、手紙くれたの……君?」

「私じゃない」

「え?!……じゃあなんで……」

「私は付き添い。こいつなかなか煮え切らないから無理矢理引っ張って来たのよ……って、ちょっと何隠れてるの!!」


そう言いながら後ろにいる人物をぐいっと引っ張ってオレの前に差し出す。
付き添いで来たという彼女にもびっくりしたが、目の前に現れた人物にもびっくりした。
目の前に現れた人物は、授業中も休み時間も何時でも居眠りをしていて、でも成績を落とした事が一度もないという噂のある通称"居眠り王子"と呼ばれる、国定 俊明(クニサダ トシアキ)という同じクラスのイケメンだった。

……てかオレ今から男に告白されんの?



つづく

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毎回1Pずつ地味に続けていくと突発に書き始めたお礼文です。
この時、拍手の時点ではタイトルを記入してませんでしたが、続き物という事で付けました。
そのまんまなタイトルでスミマセン……;;


2015/7/2〜2015/8/3.

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あきゅろす。
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