いきすぎた愛 7 「気づいて……いたのか?」 俺は翔を見つめながら言う。声は震えていないだろうか? 体は震えていないだろうか? 様々な思いが駆け巡る中、誰かが俺の頭を撫でる。 「八雲……」 八雲は少し乱暴に俺の頭を撫でる。けれど、その手つきは優しい。 八雲じゃ無いみたいだ。 「テメェが震えてどうする?」 「煩い。震えてなんかいない。ただ……昔を思い出しただけ」 八雲に頭を撫でられ、俺の震えは少し止まっていた。 「蓮歌。本当に一人にはなるな。俺か八雲、朱鷺組の組長と必ず一緒におるんだ」 翔の言葉に俺は一応頷く。守ってもらうひ弱なキャラじゃないんだけどな……。 でも、なんで朱鷺組の組長と一緒に? アイツは確か、翔や八雲の敵なんじゃ……。 「翔、朱鷺組の組長はテメェ等の敵なんじゃねぇのか?」 俺が聞くと、二人は顔を歪める。八雲なんて、目の前にある机をベンチに座りながら蹴り飛ばしている程だ。 あ―あ、机の脚が折れてじゃん。 「朱鷺組の組長……いや、朱鷺鴉<ときからす>は蓮歌を異常なまでに溺愛している。そうだろう? 翔。アイツは蓮歌の為なら殺人も起こすだろう」 八雲の言葉に、翔はうんうんと頷いている。 おいおい、待っておくれよ……それってある意味ヤバくないか? [*前へ][次へ#] |