[通常モード] [URL送信]

いきすぎた愛


「気づいて……いたのか?」


俺は翔を見つめながら言う。声は震えていないだろうか? 体は震えていないだろうか?

様々な思いが駆け巡る中、誰かが俺の頭を撫でる。



「八雲……」



八雲は少し乱暴に俺の頭を撫でる。けれど、その手つきは優しい。


八雲じゃ無いみたいだ。



「テメェが震えてどうする?」


「煩い。震えてなんかいない。ただ……昔を思い出しただけ」



八雲に頭を撫でられ、俺の震えは少し止まっていた。


「蓮歌。本当に一人にはなるな。俺か八雲、朱鷺組の組長と必ず一緒におるんだ」


翔の言葉に俺は一応頷く。守ってもらうひ弱なキャラじゃないんだけどな……。

でも、なんで朱鷺組の組長と一緒に?

アイツは確か、翔や八雲の敵なんじゃ……。


「翔、朱鷺組の組長はテメェ等の敵なんじゃねぇのか?」


俺が聞くと、二人は顔を歪める。八雲なんて、目の前にある机をベンチに座りながら蹴り飛ばしている程だ。

あ―あ、机の脚が折れてじゃん。


「朱鷺組の組長……いや、朱鷺鴉<ときからす>は蓮歌を異常なまでに溺愛している。そうだろう? 翔。アイツは蓮歌の為なら殺人も起こすだろう」


八雲の言葉に、翔はうんうんと頷いている。

おいおい、待っておくれよ……それってある意味ヤバくないか?

[*前へ][次へ#]

8/30ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!