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long(RIKKAIA)
メガネくんのストーカー






放課後、一週間前に借りた本の貸し出し表を見てみる

【狩沢 惺音】

今では見慣れた名がやはり自分の名前の下に綺麗に書かれていた。
自分が借りた本を必ず借りていくこの名前の存在を知ったのは二ヶ月前、一度読んだミステリー小説を何冊か読み返したくなりもう一度借りた時に貸し出し表全てに【狩沢惺音】と書かれていて最初はこの方もミステリー小説が好きなのかと思っていたが、ミステリー小説の他にも図書室に長いことあるが全く他の生徒に借りられている様子のない本の貸し出し表も見てみるとそこには自分の名前と【狩沢惺音】の名前だけが並んでいた。
流石にこれはたまたまではないと考え、今までに自分が借りた本を確認していくと全て自分の名前のすぐ下にはその名前が当たり前のように書かれていて、まだ借りたことのないミステリー小説を何冊か確認してみるとその名前はなかった。
この人物は何が目的なのだろう、少なくとも自分の周りでこの名前の人物はいない。
クラスも生徒も多いこの学校で三年間の間に関われる人物は限られる。



「【狩沢惺音】…一体何者なのでしょう」


放課後の図書室には生徒が本を選んでいたり静かに本を読んでいたり勉強をしていたり寝ていたり友達と話をしている者などがちらほらといる。
もしかしたらこの中に【狩沢惺音】はいるのだろうか。
広い図書室を見渡し適当に空いている席を探す



「こちら空いていますか?使ってもよろしいでしょうか?」


「え?は、はい…どうぞ…」



目の前の生徒に一応許可を入れ「失礼します」と席に座る。
勉強をしているところ急に声を掛けて迷惑だったでしょうか、しかしすぐ勉強を再開していたので大丈夫だったのだろう。自分も本を開き読み始める。

本に集中した私にはこの時目の前の視線に気づく筈はなかった



下校時間になり、図書室を出て人気のない廊下を歩いていると「柳生先輩…!!」と背後から呼ばれ振り返ると先ほどの生徒が息を切らしながら何か困ったような顔で立っていた



「おや、私をご存知で?」


「あの、えと…はい。俺、狩沢惺音っていいます!」



狩沢惺音、それはここ最近自分が探していた人物の名前。
まさか先程自分の目の前に座っていたこの方が狩沢君だったとは



「柳生先輩、俺…俺柳生先輩の事好きなんです!付き合ってください!」











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あきゅろす。
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