long(RIKKAI@)
不機嫌と飴玉
《side仁王》
柳が休憩時間終わりに飴を食べながら帰って来た。
別にそれだけならなんてことないことなのだが、持っていた飴の袋に見覚えがある
あいつはこの休憩時間どこで誰と会っていた?
気になりだすとキリがなく、練習もミスを何度かしてしまい怒られたが全く頭に入ってこなかった
部活が終わり図書室へ向かう
いつも通り羽月が静かに本を読んでいる
扉を開くと本から顔を上げニコリと笑う
「お疲れ仁王くん」
「ああ、」
「飴食べる?」
やはり参謀が持っていた袋と同じ飴が羽月の掌に広がる
「いや、いらん。」
「そう?なんか元気ないみたいだけど何かあったの?」
「そんなことなか。別に何もないぜよ」
「そうかなぁ、俺には元気ないとゆうか不機嫌なようにも見えるけど」
心配そうに言う羽月に申し訳なくなる
こいつが悪いわけではない。自分が勝手にイライラして勝手に機嫌を悪くしているだけなのに、こいつに当たってしまうなんて最低だ
「そーゆー時は甘いもの食べるのが一番だよ」
ピンクの飴玉が羽月の口へ放り込まれる
それを見るのと同時に気づけば羽月の唇と俺の唇が重なっていた。驚いた顔をする羽月の後頭部に手を回し、舌を入れその飴を奪う。桃のほのかに甘い香りが口に広がり唇を離し最後に羽月の唇をペロリと舐める
「…え、あの…に、仁王くん…」
真っ赤な顔で名前を呼ばれハッと我に帰る。やってしまった。何と言い訳しようか
「…………」
「飴欲しかったなら言ってよ。なにも俺が食べたのを奪わなくても…」
「…プリッ」
どうやら羽月は飴欲しさに俺がこんなことをしたんだと思い込んでいる
「それに桃味最後だったんだからね」
ぷーっと膨れて拗ねたように言う
「あ、ああ、悪い。帰りにコンビニ寄るか。その飴買っちゃる」
「いいの?ありがとう。あ、そうだ、次放課後部活ある時さ、俺見に行ってもいいかな」
羽月の突然の提案に驚く
何度か見にくるかと誘ったことはあるが、毎度断られていたので興味がないのかと思っていた
「見に来てくれるんか?大歓迎ぜよ」
「よかったあ、楽しみ。仁王くんの元気も戻ってきたみたいでよかった」
「おー、お前さんの飴のおかげかのう」
「やっぱり元気ない時は甘いものが一番なんだね」
嬉しそうに言う羽月。まあ、飴のおかげで機嫌が直ったとゆうより羽月の口から奪ったからこそと言った方が正しいがそんなことを言ったらまたこいつを困らせてしまうので黙っておく。
(しかしあいつの唇、柔らかかったぜよ)
次の部活の練習試合で大活躍する仁王の姿がそこにあった
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