long(RIKKAI@)
ひつじと出会う
合宿六日目
「素人の俺なんかのレポートって役に立つのかなあ」
気づいた事をメモしていってほしいと柳に言われ、この前からそれを実行しレポートをまとめているのだが、テニス知識のあまりない羽月はあまり手応えを感じていない。
今は箇条書きした事をまとめようと木陰でメモを眺めている
「んーこんなんでいいのかなー」
「ふぁあああ〜〜」
「!?」
近くから大きなあくびが聞こえ近くに誰もいないと油断していた羽月は肩を跳ねらせる
「あれ〜いつの間に人がいる〜」
「ご、ごめん。俺も近くに人が寝てると思わなくて、起こしちゃったかな」
「だいじょぶだいじょぶー。でもいい夢見てた気がするからちょっと勿体無いなー」
今にも再び眠りにつきそうなその人に見つめられる
「な、なにかな?」
「美人さん」
「え?」
「何してるの〜?」
「あ、テニスのレポートをね書こうと思って」
「テニス〜いいよね〜」
「う、うん。そうだね」
(何なんだろうこの人…)
いたたまれなくなった羽月はこの場から去ろうと立ち上がるため地面に手をついた時、ぐいっと眠そうな目が近づきたじろぐ
「寝ていい?」
「……?どうぞ?」
なぜそんな事をわざわざ聞くのかと思ったが、むしろさっさとこの場から離れようとしていた羽月は彼が眠りたいならこの場から去れる理由が出来るので好都合だと思っていたのだが、
「じゃあお言葉に甘えて〜」
嬉しそうに寝転ぶその人がまさか自分の太腿を枕がわりにするなんて思いもしなかった
「え!?ちょっと!?」
「……zzz」
「う、嘘でしょ…」
超人的な速さで寝る彼をさすがに無理矢理起こすのは申し訳ないと思い仕方なく起きるまで待つことにする
「レポートまとめとくか…」
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「ジロー!おいジローどこだー!」
気持ちよさそうに寝る彼につられ、ウトウトとしていると誰かの大きな声が聞こえ目が醒める
「ったく、こんなとこで寝てやがったのか。ん?うわああ!?悪りぃ!ジローがこんなことさせちまって」
どうやら青い帽子を被ったその人は自分の太腿を枕がわりにしている彼と知り合いらしい
「え?いや、大丈夫ですよ」
「すぐ起こさせますんで、おい!ジロー起きやがれ!」
「んーなにー?せっかくいい気持ちで寝てたのに〜」
「テメーはまた人に迷惑かけやがって!もうすぐ試合だって跡部が呼んでんぞ」
「えーそなのー?よっこいせっと。そんじゃ、美人なおねーさんありがと〜またね〜」
ふにゃりと笑う金髪の癖っ毛くんと「迷惑かけてすまねーな」と申し訳なさそうに去る青い帽子くんを寝起きでぼんやりとした頭のまま見送る
「てゆうか俺今お姉さんって言われた?」
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