long(RIKKAI@)
恋人って
合宿四日目
ある就寝前の自由時間のこと
「何それ、俺の事信用してないってこと?」
「そう思われるような事してる空風が悪いぜよ。そもそもなんでいつも俺に何も言わないんかのう」
羽月は元々父親にも友達と遊びに行くくらいの報告とかはしてこなかったから同じ感覚でしなくてもいいかーくらいに思っていたが、仁王の考えは違うらしい。
だから仁王に言われてから報告をするようにしていたが、やはり癖とゆうのはなかなか抜けないもので今回も言い忘れていた。
昨日昼の自由時間、丸井から近くに最近話題のパンケーキがあると聞き、丸井と一緒に食べに行った。
「君だってこの前俺に黙って切原くんとラーメン食べに行ってたでしょ?」
「それは事前に言うの忘れとったが、ちゃんとその後報告したぜよ」
「じゃあ俺も言い忘れたんだよ」
「おまんは何回目ぜよ。それに行ったっちゅーの聞いたのもおまんからじゃなしに丸井からじゃったし」
「悪かったって言ってんじゃん」
「それ悪いと思ってない奴が言う台詞ぜよ」
「君がしつこいからだよ!逆にどーして何でもかんでも君に報告しなきゃいけないの?そーゆうとこマサくんめんどくさいんだけど!?」
羽月の発言に仁王は一瞬目を見開きすぐに鋭く羽月を睨む
「……もうええ」
「もういいってなんだよ…」
羽月に背を向け部屋から出て行く。
扉が閉まる直前「空風にとって俺って、恋人って何なんじゃ」と小さく呟く
「…分かんないよ」
分かんないよ今まで恋なんてしたことなかった俺が恋人の定義なんて
羽月は仁王が出て行った扉をしばらく睨んでから「あ"ーー」と寝っ転がり天井を見つめる。
羽月の穏便な性格ゆえあまり喧嘩とゆうものをしてこなかった二人だったが、何故ここまで悪化したかというと、
「昨日羽月君と食いに行ったパンケーキ美味かったぜ」と丸井が話しているのを聞き、それを羽月に問いただしたら「ごめんね、次から気をつける」と言った羽月に対して「今まで気をつけてなかった奴がこれからちゃんと出来るとは思えんのう」と小馬鹿にした言い方に羽月もカチンと来てしまい冒頭にいたる。
しばらくしてノック音が聞こえ仁王が戻って来たのかと思ったが「空風、俺だ。柳だが」とゆう声に「どうぞ」と答える
「仁王があからさまに不機嫌に戻って来たが何かあったのか?」
「蓮二くん…」
目線だけ柳に向け寝っ転がったままの羽月の隣に座る。羽月は今あったことを柳に話す
「一般的な恋人って何なんだろう…付き合うって好きってだけじゃやっていけないの?」
「お前達はお前達なんだから一般論なんか気にしなくていいと思うぞ。お前は特にそうゆうのには慣れていない、これから気づけばいい。仁王も少しムキになっていたんだろう」
「うん…。てゆうか俺、勢いで酷いこと言った気がする…」
今更自分が言ったことを後悔する
(元はといえば俺が悪いんだよな…)
「蓮二くんに話したら落ち着いてきた。謝りに行ってくる。聞いてくれてありがとう」
「ああ、行ってくるといい」
部屋を出て仁王の部屋の近くまで歩くと柳生に会う
「おや、羽月君散歩ですか?もうすぐ就寝時間ですよ」
「ちょっとマサくんの部屋に」
「仁王君ならもう寝てましたよ」
「…………」
「…………?」
「は、はぁぁああ!!???」
俺がこんなに悩んでる間彼は呑気に寝てるわけ?
「てゆうか君マサくんじゃないよねぇ?」
黒いオーラを出しながら柳生の両頬を抓る
「痛!?ち、違いますよ」
いつもと違う雰囲気の羽月に戸惑いながら羽月を落ち着かせる
「空風?大きな声が響いてたがどうした?」
「うううう、蓮二くん俺もう嫌だぁ」
駆けつけた柳に抱きつき柳はそんな羽月の頭をポンポンと撫でる
「なんじゃ、騒がしいのう」
そんな最悪のタイミングに仁王は頭を掻きながら眠そうに自室から顔を出しその場にいた全員が凍りつく。
仁王も冴えた目で抱き合う柳と羽月の姿を捉え眉間に深いシワを刻み一度部屋へ戻ったかと思うとテニスバッグを持ち自室の扉を勢いよく閉めどこかへ行ってしまった
「え?あれ?状況悪化した?」
「そのようだな…」
波乱万丈の予感……
(アッハハ、そりゃあキミ仁王の部屋の前でする事じゃなかったね)
(わ、笑いすぎだよ精市くん…はぁ、どうしよ)
(羽月君、悪りぃ…)
(丸井くんは全然悪くないから気にしないで!パンケーキ、美味しかったし楽しかったから!)
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