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long(RIKKAI@)
世話焼きと願い








《side柳》




一昨日から羽月の行動がおかしい
登校したと思ったらすぐに教室を出て行き、入れ違いに仁王が羽月を探しに来て姿がないと分かると立ち去り、羽月はチャイムのギリギリまで戻らない。休み時間でも同じく、放課後も今までは仁王が迎えに来るまで待っていたが最近は待たずにHRが終わると同時に教室を出ている。
休み時間、教室を出た羽月を追いかけ腕を捕まえると見るからにビクリと驚いていた




「羽月、ちょっといいか?」



「あ、柳くんか…うん、いいよ。でも出来れば場所移動したいんだけど」




ここなら人が来ないだろうと生徒会室の隣にある空き教室へ入り念のため奥へ行き机と椅子の陰になる場所へ座る




「それで、どうしたの?」



「仁王と何かあったのか?」




目を見開き逸らされる。どうやら当たったようだ




「喧嘩でもしたのか?」



「喧嘩…じゃないんだけどね、ちょっと気まずくて」



「俺でよければ相談相手になるぞ」




少し戸惑った後、口を開く




「告白、された。前にも柳くんからしてくれた別の日に仁王くんからもされて、でもその後今まで通り接して来てたから俺も今まで通り接してたんだけど、この前の関東大会決勝の後また改めて思い告げられたんだ」




仁王の奴ついに告白したのか、結構長かったな




「どう答えたんだ?」



「何も言えなかった…」



「よくあいつが許したな」



「返事は急がないし、くれなくてもいいって言ってた。けど、嘘だと思う。今すぐ欲しいはずなのに俺を困らせない為に…でも、俺は気持ちに整理がつかなくてこうやって仁王くんと顔を合わせられずにいる」




強がって嘘をつく仁王にそれに気づいてるがどうしたらいいのか分からず悩んでいる羽月か、
全く…二人共世話が焼ける奴らだな




「羽月、お前は仁王と同じ気持ちだと思うがな俺は」




「えっ」と驚きの声を出す。




「俺からの告白と一回目の仁王の告白を聞いても気まずくならなかっただろう、それは今まで通り友達だと思えてたからだ。しかし再び仁王に想いを告げられて自分もその間に同じ気持ちになって来ていたから前と違う自分の気持ちに戸惑い整理が出来ず仁王の想いに応えてやりたいが、どう答えたらいいか分からないまま仁王と会えずにいる。違うか?」



「そ、そうなの、かな…」



「お前は仁王のことをどう思ってるんだ?」




眉根を寄せ考える羽月
しばらくして深呼吸をし、顔の表情を和らげ小さく答える




「俺も…マサくんのこと、好き…かも……」




「そうか、」と一言言い、微笑みかける。悔しいのに変わりはないがそれ以上に羽月には幸せになってもらいたいと思っている。




「次の休み時間、屋上へ行くといい。仁王はきっとそこにいる」



「分かった。ごめんね、柳くんにこんなこと相談しちゃって」



「お前の為だ、構わない。それに俺は諦めるつもりはない。仁王がお前を大事にしなければすぐにでも奪うつもりだ。覚悟しとけ、空風」



「フフッ、ありがとう…蓮二くん」




最後に抱きしめても構わないだろうかと聞き両手を広げる空風に抱きつく。「これじゃあ蓮二くんじゃなくて俺が抱きしめてるみたいだね」と頭を優しく撫でられ俺は一筋、頬を濡らす。

愛する人の初恋がどうか幸せになるよう願いながら












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あきゅろす。
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