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long(RIKKAI@)
独占欲と打ち明け








《side仁王》




放課後、屋上で二人のんびりとした時間を過ごしていた。途中、空風は先生に提出するものがあるんだったと荷物を置いたまま屋上から出て行く


(ケータイまで置いて行って大丈夫なんか)


と思っていると空風のケータイから着信音が鳴り響き、何気なく見たディスプレイに並ぶ文字に息を詰まらせる




「なんの用じゃ」



『仁王か…?羽月はどうした』



「空風なら提出物があるゆうて先公のとこへ行ったぜよ」



『そうか、その事で先生が探していると知らせたかっただけだ。それじゃあ』



「待て、なんでおまんが空風の番号を知っとるんかのう」



『クラスメイトが連絡先を知っていても不思議じゃないだろう』



「少し前まで知らんかったはずじゃろ、いかんのう、俺の知らんとこで手出されちゃ」



『手を出すもなにも、お前は羽月にまだ想いだって告げていないだろう?』



「…それがどうした。俺の勝手ぜよ」



『うだうだするのは勝手だが、いつか足をすくわれるぞ。それじゃあな』




ツーツーという音が通話終了とゆう画面と共に流れる
空風に想いを告げる。そんなこと今の心地よい空間が崩れるかもしれないのに出来るはずがない。
屋上の扉が開き空風が駆け足で戻ってくる




「お待たせー。あれ、俺のケータイ?」



「柳から電話が来てたぜよ。提出物のことで先公が探してたって、そのことなら今出たって言っといたぜよ」



「あ、そうだったんだ。ありがとね。柳くんにもお礼のメール送っとかないと」




ケータイを差し出し、俺の手から受け取ろうとする空風の手が空を切る




「え?なに?」



「空風、おまん、なるべく柳と関わらないでほしい」



「どうして?」



「とにかくあいつに近づくな」




思わず強めな口調になってしまって空風はビクっと身体を強張らせた




「マサくんどうしたの?何かイラついてる?」



「……」




まただ、俺の勝手な独占欲でこいつを困らせてしまった




「悩みでもあるの?」



「悩みなあ…あるかもしれんのう」



「俺でよければ聞くよ」



「それは出来ん」




ぴしゃりと断ると驚いた顔をする空風




「俺に言えない事…?」



「すまんな。こればかりは」




だんだん空風の表情が曇っていく




「俺が出来ることなら協力するからさ…」




泣きそうにも見える表情で呟く
協力、か




「そんじゃあ協力してもらうとするかのう」




空風は嬉しそうな顔をする




「うん!どうすればいい?」



「少し耳塞がせてもらうぜよ」




そう言い空風の耳を両手で塞ぐ。戸惑う空風を安心させるように微笑み俺はずっとこいつに伝えたくて呑みこんでいた言葉を言っていく




「空風、俺はお前さんのことが好きじゃ。きっと屋上で声掛けたあの日の前から、ずっと気になっとった。」




空風は俺の放つ言葉が聞こえず不審に思っているような顔をしているが俺は続ける




「お前さんのこと考えると柄にもなく胸が痛くなったり、お前さんが誰かと楽しそうに話したりしてるとイラついたりするんじゃ。情けないよなあ。もしかしたら知り合わない方が良かったんじゃないかなんて考える日もあって、迷惑かけんように空風から離れようと思ってもそんな事出来るはずなくてな。モヤモヤは募るばかりで結局お前さんに心配かけさせちまったのう。すまんな」




深呼吸をする



「好きじゃ空風。」




言いたかった事を吐き出し、空風の額にキスをして耳から手を離す




「ありがとな、元気戻ったぜよ」



「え?う、うん…マサくんの悩みが少しでも解決出来たなら俺もよかったよ」




ぎこちない笑顔の空風の頭を撫で、そろそろ帰るかとケータイを返す



これは俺の最後の賭け…ナリ







(でももう柳くんに近づくななんて言わないでね)

(…………)

(返事は?)

(プリッ)











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あきゅろす。
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