long(RIKKAI@) 魔法と告白 《side仁王》 今日は空風の様子がおかしい 話しかけても気づかなかったり、ぼーっとしてる事が多い。まさかまた風邪か?と上の空なあいつのデコに手を当てる 「ん?どうしたのマサくん」 「熱はないみたいじゃな、どうしたのはこっちのセリフぜよ。今日やけにボーっとしてないか?」 少し悩んだ後空風は口を開ける 「実は今日久しぶりに父さんが家に帰ってくるんだ。それで二人でご飯行こうって。けどしばらく会ってないし、連絡だって必要事項でしか取らないもんだから俺的には話すことなんてないし、正直あまり気が乗らないんだよね」 「空風は親父さんのこと嫌いなんか?」 「……うん…だって去年の冬に母さんが病気で亡くなって悲しむ俺の側に居てくれるわけでもなく今まで通り仕事仕事で帰ってくる事少なくて、孤独にさせたんだもん」 空風が片親なのは知っていたが、母親は亡くなっていたのか 「俺やっぱり今日は帰らないで父さんに会わないでいようかな」 「せっかく会えるんやからいっぱい甘えたらええのに。話したい事だってホントはあるじゃろ」 「…会う勇気が出ない。マサくん魔法かけて」 「魔法?」 「うん、俺マサくんに撫でられるとすごく落ち着くから」 急に何を言い出すのかと思えばそうゆうことか 空風の頭に手を置き、いつものように優しく撫でる 「どうじゃ?」 「んー、少し落ち着いたけど足りない。もっと強い魔法がほしい」 強い魔法? 突然のこいつの電波発言に俺はどーしたらいいのか悩んでいると前触れもなく空風に抱きつかれる。 「お、おい。空風…」 空風は黙ったまま俺の胸に顔を埋めている 俺もソロソロと抱きしめ返し、左手は空風の頭を抱えるように撫でる 「マサくん…」 ギュッと空風の腕に力が入り、か細い声で呼ばれる 「なんじゃ?空風」 「……俺ね、マサくんと初めて会ったあの日…あそこから飛び降りて死のうとしてた」 突然の告白に言葉を失う。 空風が死のうとしていた?それを俺が知らぬ間に止めていたのか? 何と返したらいいのかわからずに黙っている俺に構わず空風は続ける 「母さんが死んで父さんも家に帰って来なくて、俺はしばらくなんのやる気も出なくなって、そしたら栄養失調で倒れた。 病院では精市くんがいたけど退院して家に帰るとまた孤独。俺は淋しいのは嫌なんだ。 それで自棄になった俺はあの日飛び降りようと屋上にいたら君に声を掛けられた。……ごめん。こんなこと急に言っちゃって…」 腕の力を抜き、肩を押し体を離すと空風は悲しそうな顔をし俯く。拒絶されたんだと勘違いしたのだろう、俺は空風の頬を両手で包みこちらを向かせる 「大丈夫じゃ空風、お前さんは孤独なんかじゃなか。俺がいるけぇ、俺を頼りんしゃい。俺に甘えんしゃい。俺はおまんを一人になんかさせん。」 驚き見開いた目からはしばらくして涙が溜まり、そして流れていく。空風の涙を親指で拭い瞼に口づけをする。俺は再び空風を強く抱きしめ綺麗な黒髪を撫でる。 しばらくして腕の力が抜けていき、離れたその目は少し赤いが、さっきまでの不安な表情は消えていた 「ありがとう。話聞いてくれて、俺今日父さんとちゃんと会って話すよ。やっぱりマサくんは魔法使いだね」 「おー、俺はおまん専用の魔法使いじゃき。いつでも頼りんしゃい」 ありがとーとまた抱きつかれ焦るが、こいつの不安が取り除けてよかったと安心する。 (マサくん!) (おー空風、親父さんと話せたか?) (うん、いっぱい話していっぱい甘えちゃった。これからはなるべく帰って来れるようにするって!マサくんのおかげだよ) そう嬉しそうに話す空風に俺も嬉しい気持ちになる [*前へ][次へ#] [戻る] |